1998年(平成10年)平和宣言

ページ番号1040418  更新日 2026年9月15日

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平和宣言

 沖縄戦終結から53年が経ちました。沖縄戦における人命や文化遺産等の犠牲の大きさは、いくら歳月を重ねても忘れ去ることはできません。今日の慰霊の日は、私たち県民にとって深くそのことに思いを致す日であります。この小さな島で展開された数か月間のし烈な戦闘で、実に20万人余の貴い人命が失われました。その中には、今もって800メートルの海底に沈んだままの対馬丸の疎開学童達も含まれています。その一人一人が将来への希望と無限の可能性を秘めたかけがえのない人々だったことを思うとき、私たちは、悲しみに胸が痛みます。
 しかし、県民は、悲嘆に打ちひしがれ、無為に日々を送ることは許されません。犠牲になられた方々に報いるためにも、過去の悲惨な戦争体験や教訓を21世紀を担う若い世代に正しく伝え、二度と再びこの地において、同じ惨禍を繰り返させることがないよう言葉の真の意味で持続的な平和創造に向けて努力していかなければなりません。
 しかるに本県には、戦後半世紀が過ぎた今日においても、依然として巨大な米軍基地が存在し、県民の生活が日常的に危険にさらされているだけでなく、自立的産業振興を図る上でも様々な障害となっています。あまつさえ、災害に強い街作りにも大きな支障をきたしています。こうして、県民の長年にわたる基地返還の強い願いは、いまだかなえられていません。いったい我が県民は、いつまでこのような不幸な事態を強いられなければならないのでしょうか。
 近年の新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」に基づく、いわゆる「周辺事態安全確保法案」が国会に提出されており、一段と県民を不安にしています。この法案は、有事の際、米軍による民間空港や港湾施設などの一時使用が可能となる外、地方公共団体や民間の協力を半ば義務づけています。特に本県は、米軍基地を過重に抱えているうえ、島しょ県として数多くの空港、港湾施設を有しており、県民生活への悪影響が懸念されるからです。
 今年は、人権及び基本的自由の普遍的な尊重と遵守をうたった世界人権宣言が国連総会で採択されて50周年の節目の年になります。
 今日の世界情勢を見ますと、経済をはじめ、あらゆる分野で急速にグローバル化が進む一方で、宗教や民族、あるいは貧富の格差にからむ地域紛争が頻発し、しばしば人間の尊厳が侵害される事態が起こっています。それどころか、核兵器廃絶を求める国際世論に逆行して、インド、パキスタンなどが競って核実験を行うなど、核拡散の懸念も現実のものとなってきています。こうした状況は、人類の生存そのものを脅かすだけでなく、かけがえのない地球環境を取り返しのつかない事態に陥れる危険があります。
 このようなときにこそ、私たちは世界に誇れる平和憲法の基本理念に基づき、来るべき21世紀に向けて、人類が国籍や民族の別なく相互に助け合い、それぞれの立場で可能な限り、平和な国際社会の構築に貢献する必要があります。
 沖縄県が、「平和」「共生」「自立」を基本理念として国際都市の形成に努めているのもそのためであります。県では先に、平和の礎を建設し、敵、味方の別なく、また、軍人、非軍人の別なくすべての犠牲者の氏名を刻み、平和の尊さを世界に発信する基礎作りをしました。現在、新しい平和祈念資料館の建設も進んでいますが、さらに近い将来、国際平和研究所を設立して、本県を文字通りアジア・太平洋地域における平和創造の拠点にすべく懸命に取り組んでいます。
 また、21世紀に向けて、国のマルチメディア・アイランド構想や改正された沖縄振興開発特別措置法等を生かし、新しい産業の発展に努めるとともに、平和を基調とした観光立県を更に推し進め、経済の自立を図る考えであります。
 慰霊の日に当たり、私たち県民は、沖縄戦で犠牲になられたすべての方々のみ霊に心から哀悼の意を表するとともに、戦争の再発を許さない努力ができる人間として、世界の恒久平和の実現に尚一層取り組む決意を内外に宣言します。

平成10年6月23日
沖縄県知事 大田昌秀

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