1997年(平成9年)平和宣言
平和宣言
去る大戦から52回目の夏を迎えました。しかし、私たちの心に深く刻み込まれた戦争の悲しみは、癒されることはありません。20万人余の貴い生命と貴重な文化遺産を奪った沖縄戦。歴史はその時代を写し出す一枚の鏡だと言われています。本県の苦難に満ちた過去に目を閉ざすことなく、その教訓を今日並びに未来に生かしていかなければなりません。私たちは、沖縄戦最後の激戦地となったここ摩文仁の丘で、不戦の決意を新たにするとともに、悲惨な戦争体験を正しく次の世代に伝え、平和の尊さを国内外に強く訴えていきたいと思います。
しかしながら、本県の現状を見ると、戦後半世紀が過ぎた今日においても、広大で過密な米軍基地が存在し、振興開発の大きな障害となっているばかりでなく、平和のうちに生存する権利や人権、財産権を様々な形で侵害しています。また、米軍基地は、有事の際には、平和を願う私たちの意思に反して、私たちを間接的な加害者にするという一面を持っており、世界の国々との平和交流を目指す本県にとって、容認できるものではありません。
一方、世界の情勢を見ますと、東西冷戦の終焉に伴い、国際社会は、ポスト冷戦後の対話と協調による世界秩序の構築を模索しつつありますが、今なお世界の各地で紛争が絶えないことや核兵器の保有に関心を持ち続けている国々もあり、平和な世界とは程遠い状況にあります。また、貧困、暴力、人権抑圧及び環境破壊など平和を脅かす要因も数多く発生しており、真の世界平和はいまだ確立されておりません。
今年は、日本国憲法が施行されて50周年、本県が憲法の下に復帰して25周年目に当たります。この節目の年に、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重という日本国憲法の崇高な理念を改めて確認し、私たち一人一人がそれを日常生活に生かしていく必要があります。そして、平和を脅かすいかなる問題に対しても、勇気と信念をもって立ち向かい、解決に向けて努力し続けたいと思います。
私たちは、来るべき21世紀に向けて、「平和」「共生」「自立」を基本理念とする「国際都市沖縄」を実現することにより、自立的発展を目指します。そして、本県を国際平和の交流拠点にするとともに、軍事的要石ではなく、アジア太平洋地域の持続的発展を図る平和の要石にしたいと思います。
慰霊の日に当たり、私たちは、犠牲になられたすべての方々に心から哀悼の誠を捧げるとともに、先人から受け継いできた平和を希求し共生を志向してやまない「沖縄のこころ」を礎に、新たな決意を持って、世界の恒久平和実現のため最大限努力することを、高らかに宣言します。
平成9年6月23日
沖縄県知事 大田昌秀
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