1993年(平成5年)平和宣言
平和宣言
平和は、人類普遍の願いであり、崇高な理想である。
かつて私たちの祖先は、平和な社会をつくり出すため、すべての武器を廃棄し、近隣諸国と交易を通して、積極的な友好関係を結び、数百年にわたって「平和愛好の民」として知られ、誇りに値する独自の文化を築き上げてきた。
しかしながら、去る大戦で郷土沖縄は、日米最後の決戦場と化し、20万余の貴い人命が犠牲になっただけでなく、かけがえのない文化遺産もことごとく消滅せしめられた。それによって私たち県民が受けた苦しみと心の傷は、いつまでも癒えることはない。
戦後48年、私たちは、不戦の誓いを明記した日本国憲法の理念を現実に生かすべく、ひたすらに平和の尊さを訴えつづけてきた。
にもかかわらず、依然として世界各地で紛争が後を絶たないことを、この上なく残念に思う。
私たちは、単に悲惨な戦争体験を再現してはならないということから戦争の残酷さについて語るのではない。私たちもまた戦時中に、近隣諸国民に対し、計り知れないほどの苦難を強いたことへの深い反省に立ってのことである。
このように、切実に平和を希求する県民の意志に反して、我が県には巨大な軍事基地が存在し、実弾演習などによって自然が破壊され、県民生活に数々の悪影響を与えていることは、極めて遺憾である。私たちは、「平和で活力に満ち潤いのある沖縄」をつくるため、基地の大幅な整理縮小、ひいては撤去を強く求める。
今日、世界の情勢は、従来の軍事的対立から対話と協調を求め、新たな平和秩序の確立に向けて激しく動いている。いまこそ私たちは、世界的動向に呼応して恒久平和の樹立に向けて、全力を傾けなければならない。
平和とは、単に戦争の無い状態をいうのではない。貧困、飢餓、差別、暴力、人権の抑圧、環境の破壊などもまた、平和を脅かすものである。私たちは、世界中の人々がこのような平和を損なう構造的な暴力から解放され、共生の思想に基づいて協調し、不断の努力によって真に豊かな人間生活をつくり上げるのに貢献すべく求められている。
人類が核兵器を廃絶し、世界の新しい平和秩序を確立する道は、決して容易ではない。だが、私たちは、慰霊の日のこの機会に自らの責務について思いを馳せ、日本国憲法の平和理念を順守し、強い決意をもってその困難な仕事を成し遂げ、沖縄をして文字どおり平和の発信地とすることを、ここに宣言する。
平成5年6月23日
沖縄県知事 大田昌秀
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