1996年(平成8年)平和宣言

ページ番号1040420  更新日 2026年9月15日

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平和宣言

 私たちは、人間が人間でなくなってしまった、あの沖縄戦での悲惨な出来事を、昨日のことのように思い出します。
 私たち沖縄県民が、沖縄戦の惨禍を通して、身をもって体験し学んだことは、「命どぅ宝」という人間の生命の貴さと、祖先から脈々と受け継いできた、戦争を憎み、平和を愛し、共に助け合って生きるということの大切さでありました。
 しかし、戦後の50年は、戦前の苦難の歴史と同様、平和を願う県民の心からの叫びが無視されつづけてきました。
 27年にも及ぶ異民族の統治。平和憲法の下に復帰して24年余を経過した今もなお、広大で過密な米軍基地が存在することによって、自らの土地を自由に使うことが出来ないだけでなく、空や海を使うにも大きな制約を受ける現実。その結果、地域の都市形成はもとより、雇用問題や産業の振興も思うにまかせません。加えて、基地から派生する事件・事故も後を絶たず、人間の尊厳を侵す事例も数多く発生しています。その結果県民は、憲法に保障された「平和のうちに生存する権利」さえも享受できない状況にあります。
 一方、世界をみても、東西の冷戦が終結し、対話と協調の時代に入りましたが、新たな平和秩序はいまだ構築されていません。
 中東や旧ソ連などでは地域紛争が多発し、世界中の抗議にもかかわらず非人道的な核兵器の開発のため、核実験を繰り返す国々もあります。また、差別、貧困、暴力、環境破壊など、平和を脅かす様々な問題によって、世界はいまだ平和を確保できない悲しむべき状況にあります。
 平和な国際社会を築きあげることは、世界のすべての人々が等しく願ってやまない純粋な気持ちであり、理想であるはずです。したがって、私たちは、平和を阻むどのような要因があろうとも、地球の一員として、民族や宗教、文化の違いを理解し合い、共に手をたずさえ、平和への道を切り拓かねばなりません。
 私たちは、昨年、沖縄戦の未曾有の犠牲と教訓を踏まえ、世界の恒久平和を希求する「非核・平和沖縄県宣言」を行い、平和の発信地沖縄を内外にアピールいたしました。
 このような平和を願う私たち沖縄県民の不断の努力が実り、日米両国政府の特段の御尽力によって、普天間飛行場などの返還が合意されました。しかしながら、基地問題に解決のきざしが見えてきたとは言え、その多くが県内の既存の基地への移転を前提とするなど、なお多くの課題が残されています。
 沖縄の基地問題は、日本の民主主義が問われる、すぐれて日本全体の問題であります。「平和的生存権」の問題を含め、国民すべてが自らの問題として主体的に取り組む必要があると考えます。
 私たちは、基地を平和と人間の幸せに結びつく生産の場に変え、来るべき21世紀に向け、若者が夢と希望のもてる「基地のない平和な沖縄」を作ることを決意します。そして、アジア太平洋諸国との長く友好的な交流の歴史と地理的特性を生かし、日本とアジア、そして世界を結ぶ平和の交流拠点となる国際都市の形成に沖縄の未来を託したいと思います。
 私たち沖縄県民は、太平洋戦争最後の激戦地となったここ摩文仁に立ち、歴史の教訓を改めて深く心に刻み、世界の恒久平和の実現に向け全力を傾げることを、高らかに宣言いたします。

平成8年6月23日
沖縄県知事 大田昌秀

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