有機フッ素化合物について
有機フッ素化合物の情報についてまとめています。追加情報については、本ページをとおして随時更新していく予定です。
1.有機フッ素化合物について
有機フッ素化合物は、撥水性と撥油性を併せ持ち、熱・化学的安定性等の物性を示すことなどから、撥水・撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤、殺虫剤、調理用器具のコーティング剤等の幅広い用途で使用されてきました。一方で、難分解性のため長期的に環境中残留することなどが問題視され、近年、新たな環境汚染物質として規制の検討が進められています。
有機フッ素化合物の代表的な物質にPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)、PFHxS(ピーエフヘクスエス)がありますが、それ以外にも数千種類の物質があると言われており、これらの物質を総称してPFAS(ピーファス)と呼ばれています。
(1)PFOS(ピーフォス)とは
PFOSとは、ペルフルオロオクタンスルホン酸の略称(Perfluorooctane Sulfonate)
用途:撥水剤、表面処理剤、防汚剤、泡消火薬剤、コーティング剤等のフッ素樹脂の溶媒など
POPs条約での分類:附属書B(製造、使用、輸出入を制限すべき物)
化審法の分類:第一種特定化学物質(製造又は輸入の原則禁止、使用の制限)
(2)PFOA(ピーフォア)とは
PFOAとは、ペルフルオロオクタン酸の略称(Perfluorooctanoic Acid)
用途:繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服など
POPs条約での分類:附属書A(製造、使用、輸出入を禁止すべき物質)
化審法の分類:第一種特定化学物質(製造又は輸入の原則禁止、使用の制限)
(3)PFHxS(ピーエフヘクスエス)とは
PFHxSとは、ペルフルオロヘキサンスルホン酸の略称(Perfluorohexane Sulfonate)
用途:泡消火薬剤、金属メッキ、繊維、皮革、室内装飾品、研磨剤、洗浄剤、コーティング剤、電子機器、半導体、難燃剤、腐食防止剤など
POPs条約での分類:附属書A(製造、使用、輸出入を禁止すべき物質)
化審法の分類:第一種特定化学物質(製造又は輸入の原則禁止、使用の制限)
(4)POPs条約
難分解性、高蓄積性、有害性等を持つ物質のことをPOPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)といい、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)等の化学物質が挙げられます。これらの物質は、国際的に協調して廃絶、削減等を行う必要から、2001年5月「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択され、多くの国が国際的に協調しながら対策に取り組んでいます。
PFOS等の有機フッ素化合物の一部については、POPs条約の対象物質となっており、日本国内では化審法等により使用・製造等について規制が行われています。
(5)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)での取扱い
「化審法(かしんほう)」とは、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律であり、化学物質の性状等(分解性、蓄積性、毒性、環境中での残留状況)に応じた規制などが行われています。
PFOSは平成22年4月、PFOAは令和3年10月、PFHxSは令和6年2月に化審法の第一種特定化学物質*に指定され、製造・製品への使用が原則禁止されています。
※第一種特定化学物質:
難分解性、高蓄積性及び長期毒性又は高次捕食動物への慢性毒性を有する化学物質。製造又は輸入の許可(原則禁止)、使用の制限、政令指定製品の輸入制限や第一種取扱事業者に対する基準適合義務及び表示義務等が規定されている。
(6)泡消火薬剤について
PFOS等を含む製品として代表的な製品に火災時の消火等に使用されることがある泡消火薬剤があります。環境省はPFOS等を含有する泡消火薬剤が使用されている消防機関、空港、自衛隊関連施設、石油コンビナート等、その他の施設を対象として、PFOS等を含有する泡消火薬剤について、全国の在庫量を把握するための調査を実施しています。
なお、PFOS等が使用されている泡消火薬剤は、取扱上の技術基準や表示義務等が設けられ、火災等の災害時には使用が認められていますが、大量に使用され環境を汚染するおそれがあることから、PFOS等を含まない泡消火薬剤への切り替えが推奨されています。
(その他参考)
- エッセンシャルユースと取扱上の技術基準について(経済産業省)(外部リンク)
- 消火器・泡消火薬剤等の取扱いについて(経済産業省)(外部リンク)
- PFOSを含有する消火器・泡消火薬剤等の取扱い及び処理について(環境省)(外部リンク)
- PFOSを含有する消火器・泡消火薬剤等の取扱い及び処理について~消火器等の適正な取扱い・処理をお願いします~(パンフレット)(環境省)(外部リンク)
2.県の取り組み
(1)水質調査
米軍基地周辺調査
- 令和5年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査の結果
- 令和4年度(冬季)有機フッ素化合物環境中残留実態調査の結果
- 令和4年度(夏季)有機フッ素化合物環境中残留実態調査の結果
- 令和3年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査(冬季)の結果
- 令和3年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査(夏季)の結果
- 令和2年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査の冬季調査の結果
- 令和2年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査の夏季調査の結果
- 令和元年度有機フッ素化合物環境中実態調査の冬季調査結果、再追加調査結果、雄樋川調査結果
- 令和元年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(追加)
- 令和元年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(夏季)
- 平成30年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(冬季)
- 平成30年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(夏季)
- 平成29年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(冬季)
- 平成29年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(夏季)
全県調査(水質)
(2)土壌調査
(3)全県調査(水質・土壌)
(4)普天間飛行場周辺の汚染源特定に向けた専門家会議
沖縄県では、令和3年度から普天間飛行場周辺の有機フッ素化合物汚染源の特定のため、当該分野の専門家による会議を実施しています。
3.事件・事故等への対応
泡消火剤漏出事故関連
- 普天間基地内のPFOS等処理水の分析(令和3年7月採取)
- うるま市陸軍貯油施設(金武湾第3タンクファーム)PFOS等流出(令和3年6月発生)
- 航空自衛隊那覇基地泡消火剤漏出事故(令和3年2月26日発生)
- 普天間飛行場泡消火薬剤流出(令和2年4月10日発生)
西原町・中城村におけるPFOS等調査
4.立入申請、国への要請など
県では、米軍基地周辺の湧水等でPFOS等が検出されていることについて、米軍基地が汚染源である蓋然性が高いと考えており、嘉手納飛行場、普天間飛行場及びキャンプハンセンに立入調査を申請するとともに、国及び米国に対し、PFOS問題の解決に向け、県の求める立入調査の実現、国や米軍による浄化対策等を要請しています。
(1)米軍基地への立入申請、要請等
- 令和4年8月 在日米軍沖縄地域調整官、在沖米国領事あて要請
- 令和4年7月 在日米軍司令官あて要請(沖縄県保健医療部のページへ移動)
- 令和3年12月 キャンプハンセンへの立入申請(沖縄県保健医療部のページへ移動)
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令和3年2月 在日米軍司令官あて要請
※在日米軍沖縄地域調整官、嘉手納飛行場第18航空団司令官、普天間航空基地司令官 - 令和2年5月 嘉手納飛行場への立入申請(沖縄県企業局のページへ移動)(外部リンク)
- 令和元年6月 在日米軍司令官あて要請 (PDF 491.6KB)
- 平成31年2月 普天間飛行場への立入申請 (PDF 1.2MB)
- 平成28年6月 嘉手納飛行場への立入申請(沖縄県企業局のページへ移動)(外部リンク)
(2)国への要請
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令和6年1月 関係閣僚あて要請
※内閣官房長官、内閣府特命担当大臣、防衛大臣、環境大臣、外務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣 - 令和4年8月 沖縄防衛局長、外務省特命全権大使沖縄担当
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令和4年7月 内閣官房長官あて要請(沖縄県保健医療部のページへ移動)
※その他要請先は内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)、外務大臣、厚生労働大臣、防衛大臣、環境大臣 -
令和3年2月 防衛大臣あて要請
※その他要請先は内閣官房長官、環境大臣、外務大臣、厚生労働大臣 -
令和元年6月 防衛大臣あて要請 (PDF 679.0KB)
※その他要請先は内閣官房長官、環境大臣、外務大臣、厚生労働大臣 - 平成29年2月 沖縄防衛局からの回答
- 平成29年1月 沖縄防衛局長あて要請
5.国の取り組み
(1)環境省における有機フッ素化合物への取り組み
1 「PFOS、PFOAに関するQ&A集」及び「PFASに関する今後の対応の方向性」等について
環境省が設置した「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」(以下「専門家会議」という。)の監修の下で「PFOS、PFOAに関するQ&A集」を作成するとともに、専門家会議において、PFASに関して現時点で取り組むべき事項が「PFASに関する今後の対応の方向性」として取りまとめられました。
2 公共用水域等における全国存在状況把握調査
有機フッ素化合物について、水環境における全国的な存在状況を把握するための調査を実施しています。
3 人の健康の保護に関する要監視項目への追加、暫定指針値の設定
現在得られている健康影響等の情報や公共用水域等における検出状況等から、現時点では直ちに水質環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努める必要があると考えられるものとして、「PFOS及びPFOA」が要監視項目に追加されました。
また、暫定的な指針値として「PFOS及びPFOA」の合計値で、「0.00005mg/ L (50ng/L)以下」が設定されています。
4 指定物質への追加(PFOSとその塩及びPFOAとその塩)
水質汚濁防止法では、「公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質」を指定物質として規定していて、「PFOSとその塩及びPFOAとその塩」が新たに追加されています(令和5年2月施行)。
指定物質を製造等する施設を設置する工場等の設置者には、事故により指定物質を含む水が排出された場合等の応急の措置及び都道府県知事への届出が義務付けられています。
5 要調査項目への追加(PFHxS)
個別物質ごとの「水環境リスク」は比較的大きくない、又は不明であるが、環境中での検出状況や複合影響等の観点からみて、「水環境リスク」に関する知見の集積が必要な物質として「要調査項目」を選定しています。令和3年5月にPFHxSが新たに追加されています。
6 PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項
PFOSとその塩及びPFOAとその塩並びにそれらを使用した製品の製造、使用段階等から排出されたものが廃棄物になったものについて、その適正な取扱い・分解処理を確保するために必要な事項を示すことを目的として、「PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関するPFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」を策定しています。
7 PFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議について
現在、PFOS及びPFOAについては、公共用水域及び地下水等の水環境の「要監視項目※1」の暫定指針値として50ng/L(令和2年5月)、水道水における「水質管理目標設定項目※2」の暫定目標値として50ng/L(令和2年4月)が設定されていますが、国内での検出状況や国際的な動向等を踏まえて環境省と厚労省が合同で水質の目標値の見直し等に関する検討を行っています。
※1 要監視項目
「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、モニタリング等の対象とすべき物質
※2 水質管理目標設定項目
水道水の水質基準とする必要はないとされ、又は毒性評価等の関係上水質基準とすることは見送られたものの、一般環境中で検出されている項目、使用量が多く今後水道水中でも検出される可能性がある項目など、水道水質管理上留意すべきとして関係者の注意を喚起するためのカテゴリー
8 PFASに対する総合戦略検討専門家会議について
国内外の最新の科学的知見及び国内での検出状況の収集・評価や科学的根拠に基づくPFASに対する総合的な対応を検討、国民への分かりやすい情報発信を通して国民の安全・安心に資することを目的として、環境省に学識経験者等からなる専門家会議が設置されています。
6.諸外国における有機フッ素化合物への取り組み
(1)WHO(世界保健機関):World Health Organization
(2)EPA(米国環境保護庁):Environmental Protection Agency
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沖縄県 環境部 環境保全課
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