沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 浦添市母子生活支援施設 浦和寮
基本情報
- 事業所名:浦添市母子生活支援施設 浦和寮
- 経営主体:社会福祉法人 偕生会
- 所在地:浦添市屋冨祖2-5-14
第三者評価結果の概要
総評
特に評価の高い点
1.母親と子どもの意向や主体性に配慮し、母親への日常生活支援、子どもへの支援、家族関係、就労支援等の質の確保に努めている。
法人の基本方針を「誰ひとり置いてきぼりにせず、親子の安定した自立と自己実現の達成を目指す」と掲げ、母親への就労支援や低所得解消を重視し、スキル獲得や資格取得のための育児支援や子どもの居場所づくりを実施している。母親が安定した対人関係を築くための支援として、母親どうしが集うための機会や場を、月1回の定例会や夕食プロジェクトの後に交流会を設け、施設を自分の居場所として感じられるように支援している。子ども会では子どもたちが主体的に企画を行い、子どもが自立に必要な力を身につけるために、学習や進路、悩み等への相談支援を行っている。子どもに安らぎと心地よさを与えられるおとなとのかかわりや、子どもどうしのつきあいに配慮して、人との関係づくりについて支援している。身体的・精神的虐待を受けた子どもにとって、暴力や支配を用いないおとなモデルを示し、おとなに対して信頼感を持てるよう支援している。個別対応職員は特別な配慮が必要な母親や子どもにリフレーミングを行い、保育士は乳幼児の保育支援を行っている。
2.安心・安全な支援の実施のための組織的な取組が行われている。
リスクマネジメント体制については、事故の発生時は責任者を施設長として職員会議で対応している。危機管理対応マニュアルが整備され、災害や病気、事故等の緊急時対応方法や安全確保対策が明記され、危機管理体制表で手順等が明確にされている。事故防止等の安全確保として職員による施設内外の安全点検や防犯カメラを設置した機械警備による外部からの不審者等の侵入対策も取られている。感染症予防や急性伝染病が周知され、マニュアルに基づく勉強会も行われている。入居者には毎月の定例会や掲示板で感染予防対策を周知し、検温器と消毒機器を玄関ロビーに設置している。災害時における母親と子どもの安全確保のため、危機管理対応マニュアルに、火災や地震、台風・水害への対応方法が明記されている。年間防災訓練計画が策定され、毎月、火災や地震、津波、不審者に対する避難訓練を実施し、全職員が安否確認の方法を周知している。また、事業継続計画が策定され、食料や備品等は1階の倉庫に保管し、保育士が管理してリストも作成されている。
3.施設経営をとりまく環境と経営状況を的確に把握し、経営課題を明確にして具体的な取組を進めている。
全国母子生活支援施設協議会の「全母協通信」を通じて社会福祉事業全体の動向を把握している。地域の福祉計画は市の第4次てだこ親子プランから策定動向を確認している。支援ニーズは、入居者の推移や利用率の分析から、母親の心身の不安定や夫からの暴力、家庭環境の不適切さが入所理由となっている。入所者の年齢が30~40代と高く、母親に要治療者が多いため、通院や自立支援を必要とする利用者が多いという課題も浮き彫りになっている。さらに、施設は建設から20年が経過し、設備や備品(エレベーターや居室のクーラーなど)の老朽化に伴い、修理や取り換え等改善課題が把握されている。課題の取り組みとして、中・長期計画(5年)を策定し、耐用年数超過によるガスコンロ取り換え、エレベーター保守点検及び取り換え、建物防水塗装等と年次的に具体的な計画とし、エレベーター保守点検等が今年度に取組まれている。
改善を求められる点
1.支援の標準的な実施方法の整備、及び定期的な検証・見直しが望まれる。
支援についての標準的な実施方法として、危機管理マニュアル(虐待)、「職員からの不適切な関わりが発生した場合の対応」「自立支援計画作成」「入所受け入れや退所に関すること」「アフターケアの手順」「母親の就労に関すること」「母親と子どものプライバシー保護について」等支援全般にわたってマニュアルが作成されている。課題として、母親と子どもの権利擁護についてのマニュアル等の整備、及び各種マニュアルの毎年の検証・見直しが望まれる。
2.苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能について公表が望まれる。
苦情解決責任者は施設長で、苦情受付担当者は母子支援員と個別対応職員である。第三者委員2名が選任され、生活のしおりには苦情解決制度が記載されている。相談先として沖縄県福祉サービス運営適正化委員会、市女性相談室、子ども家庭課、沖縄県女性相談支援センターが示されている。課題として、社会的養護関係施設として苦情解決結果のホームページでの公開、及び生活のしおり(重要事項説明書)への第三者委員の氏名と連絡先の追記、口頭での意見や要望を含めて苦情内容については、受付と解決を図った記録を適切に保管することが望まれる。
3.母親と子どもの権利擁護に関する取組が望まれる。
生活のしおり(重要事項説明書)の基本方針に「子どもと母の権利を最大限擁護します」と明記し、入所時に母親と子どもの権利擁護と生活の場所であることを母親に説明している。子どもには、こどもの権利ノートや学童のしおりを読み合わせて説明して養育・支援を実施している。課題として、母親と子どもの権利擁護に関するマニュアル等を整備するとともに、権利擁護に関する取組について職員が具体的に検討する機会を定期的に設けることが望まれる。整備されたマニュアルに基づいた具体的な養育・支援の取組の徹底が望まれる。
第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価を受けて、改めて業務を見直す機会となりました。業務については、高い評価を頂きましたが記録や書類の見直し等が出来ておらず「定期的な見直しや業務内容の在り方」等、大変勉強になりました。アンケートを参考に改善し骨組みをしっかり作り、支援や業務を行っていきたいと思います。
評価結果の詳細
第三者評価機関
特定非営利活動法人 介護と福祉の調査機関おきなわ
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このページに関するお問い合わせ
沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2
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