令和7年5月15日 本土復帰記念日(5月15日)を迎えるにあたって 知事コメント
先の大戦において、沖縄県は我が国で唯一県民を総動員した地上戦の場となり、住民を巻き込み多くの文化遺産や豊かな自然が失われました。
終戦を迎えてからもなお27年間に渡って日本の施政権から分離された結果、住民の人権が著しく侵害され、県民は耐えがたい苦難を経験し、長きにわたる復帰運動を経て、53年前の1972年(昭和47年)5月15日、本土復帰を果たしました。
本土復帰後、本県は6次にわたる沖縄振興計画等により、社会資本の整備は着実に進展し、観光関連産業や情報通信産業等の成長が沖縄経済を牽引するなど様々な成果をあげています。
一方で、離島の条件不利性や全国最下位の水準である一人当たり県民所得、それを背景とした子どもの貧困問題などに加え、本県の総人口が令和4年に初めて人口減少に転じて以降、3年連続で減少するという新たな課題も顕在化しております。
また、復帰から53年を経た現在もなお、広大な米軍基地の存在が沖縄県の振興を進める上で大きな障害となり、騒音や環境汚染をはじめ、米軍人・軍属等による事件・事故が繰り返されるなど県民生活に様々な影響を及ぼしています。
さらに、普天間飛行場の辺野古への移設について、県民の理解が得られないまま工事が強行されている状況にあります。
世界情勢をみると、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとハマスとの紛争が長期化し、憂慮すべき事態が続いているほか、東アジアにおいても、中国の軍事力の強化や尖閣諸島周辺海域等における活動の継続、台湾を巡る問題、北朝鮮のミサイル発射問題など、安全保障環境がより一層厳しさを増しています。
このような中、他国との地域間交流等により友好的なつながりを持つことは、両国間の緊張緩和と信頼関係の構築に寄与するものであり、平和の樹立があってこそ安定的な経済活動の推進に繋がるものと考えております。
今年は、戦後80年の節目の年であります。これまでの歴史を振り返り、未来へ向け、平和で豊かな沖縄を実現するため、次世代を担う若い世代への平和教育など、多くの県民の皆様の「平和を考える機会」を創出します。
今後も、「時代を切り拓き、世界と交流し、ともに支え合う平和で豊かな『美ら島』おきなわ」の創造を基本理念とする「沖縄21世紀ビジョン」を着実に推進し、本県の自立的発展と県民一人ひとりが豊かさを実感できる「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて、全身全霊で取り組んでまいります。
令和7年5月15日
沖縄県知事 玉城 デニー
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