会社の会計資料等の提供を求めたあっせん事例
組合から、団体交渉での会社回答に関する資料提供及び説明を求めて、あっせん申請がありました。
組合は、「賃上げ・一時金について、毎年、団体交渉を行っているが、会社は経営が厳しいと口頭で説明するだけで、資料提供を求めても一切出さない状況である。また、経営が厳しい理由に燃料費の値上がりをあげているが、その根拠資料を求めても見せられないと回答するだけである。」と主張。
これに対し、会社側は、「燃料費の値上がり以外の出費もあり、経営は厳しい。経営責任は代表者にあるので、あえて組合に資料を見せる必要はない。」と主張しました。
第3回あっせんの中で、あっせん員が会社側と調整を行った結果、会社側は、「組合へ資料を用いて説明することはできる。しかし、資料の提供はできない。」と回答しました。
あっせん員は、「会社が資料を用いて、組合に口頭で説明する」ということについて、組合側と調整を行い、組合がこれを了承したことから、あっせんの場で、会社側の顧問弁護士が、組合に対して、経営状況がわかる資料を用いて口頭で説明を行いました。
この事例では、会社の組合に対する意識や団体交渉の場での説明不足等から、会社と組合の間に会社の経営状況についての認識や評価にずれが生じ、組合は会社に対して不信感を抱いている状態でした。
そこで、あっせん員は、あっせんの終了に際して、会社側には、「組合に対して、わかりやすく丁寧に説明し、組合が疑心暗鬼にならないようにすること」、また、組合側へは、「憶測でなく明確な根拠をもとに話すこと、会社側の説明を聞くようにすること」等の見解を述べ、あっせんを終了しました。
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