令和6年第1回沖縄県議会(Ⅱ令和6年度の施策の概要について)

ページ番号1027179  更新日 2024年2月14日

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Ⅱ 令和6年度の施策の概要について

 次に、これまで申し上げた取組に加え、令和6年度に主に取り組んでいく施策の概要について、御説明申し上げます。
 第1は、「経済分野」に関して―新時代沖縄の到来の視点―であります。
 まず、企業の「稼ぐ力」の強化と産業の振興について申し上げます。
 県民所得の着実な向上を図るためには、県内企業の生産性や競争力を高め、稼ぐ力の強化を図り、企業収益を従業員の賃上げなどにつなげることで、成長と分配の好循環を実現することが重要であります。
 このため、中小企業者等の支援については、資金繰り支援、経営改善や事業再生支援など経営基盤の強化に向けた対策、デジタル化支援による生産性の向上や、円滑な事業承継の推進等に支援機関と連携して取り組みます。
 DXの推進については、“リゾテックおきなわ”により全産業のDXを加速させるとともに、産業横断的なデータ利活用に向けた環境整備に取り組みます。
 情報通信産業については、商品・サービスの高付加価値化や高度な開発案件等の受注、海外IT人材の確保等を推進することにより、生産性の高い産業構造への高度化・転換を図ってまいります。
 スタートアップについては、昨年11 月に産学官金の関係機関と連携して策定した「スタートアップ・エコシステム発展戦略」に基づき、企業家の育成、資金調達や、事業規模拡大に対する支援など、スタートアップの成長ステージに応じた各種支援に取り組みます。
 テストベッド・アイランドの形成に向けては、国や市町村等と連携し、先端的な技術やサービスを社会実装するための実証実験に対し、ワンストップで支援する体制を構築するとともに、企業間の連携又は企業と自治体との協働によるオープンイノベーションの取組を支援することにより、新たなビジネス創出や地域課題の解決につなげてまいります。
 また、絶え間なくイノベーションが創出されるイノベーション・エコシステムの構築に向け、OISTをはじめとする県内大学等が実施する産学連携の共同研究や大学発ベンチャーの創出等を支援するほか、航空・宇宙関連産業については、下地島空港等の離島空港を活用した産業の展開を推進してまいります。
 ものづくり産業については、製造業分野において、製造工程の省力化等による生産性の向上や企業連携による技術の高度化、受発注の促進に取り組むとともに、泡盛製造業については、業界が行う自立に向けた取組を支援します。また、バイオ産業分野においては、産学官金の連携強化による研究成果の事業化支援に取り組んでまいります。工芸産業分野では、琉球漆器、染織物、壺屋焼、三線などの産地組合や生産者における経営基盤の強化、人材の育成、市場ニーズに対応した商品開発等を推進するほか、おきなわ工芸の杜を拠点に伝統工芸の魅力や付加価値の向上に取り組みます。
 域内経済循環の促進については、産業間連携による域内調達に向けた取組や、製造業や情報通信産業における技術開発力の高度化、製品・サービスの高付加価値化等を支援することにより、県内企業間の受発注及び国内外での取引拡大を促進し、域内自給率の向上につなげてまいります。
 海外への市場拡大については、県内事業者による高付加価値県産品のブランド確立や新たな商流の構築、海外への投資等を促進するとともに、トップセールスや海外事務所等による市場開拓の取組を強化するなど、アジアのみならずグローバルマーケットへのビジネス展開を積極的に推進します。

 世界から選ばれる持続可能な観光地の形成について申し上げます。
 地域社会、経済、環境の3つの側面において適切なバランスを長期的に維持し、旅行者・観光客と地域・住民が価値を共有するサステナブル(持続可能)/レスポンシブル(責任ある)ツーリズムの推進を図ってまいります。
 アドベンチャーツーリズムなど、高付加価値な観光資源開発を支援し、富裕層インバウンドを取り込むとともに、ビッグデータや観光DX、ICTの活用による多彩かつ質の高い観光の推進、災害時における観光客の滞在先の確保等に取り組み、世界から選ばれる持続可能な観光地の形成を目指してまいります。
 受入体制強化の取組として、国内外の観光客が安心し満足する質の高いサービスを提供できる観光人材の育成・確保に取り組むとともに、観光地を周遊するシャトルバスへの支援、観光2次交通結節点の設置、手ぶら観光などを推進します。
 「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の開催で得たノウハウやレガシーを活用した「デフバレー世界選手権2024」の開催支援に取り組むとともに、スポーツコンベンションの核となるJリーグ規格スタジアムについて、当初規模を1万人とする段階的な整備に向けて取り組んでまいります。

 農林水産業の振興について申し上げます。
 本県の気候や地理的特性を最大限に生かした持続可能な農林水産業振興に取り組み、離島・過疎地域における基幹産業としての地位も踏まえつつ、おきなわブランドの確立、競争力の高い品目やスマート農林水産技術等の導入、観光産業等との連携による地産地消の推進、各種ツーリズム等の体験交流プログラムの提供など、農林漁業者の所得の向上や域内経済循環の促進、魅力ある農山漁村地域づくりを推進してまいります。
 また、特定家畜伝染病危機管理体制の強化や特殊病害虫の根絶と侵入防止の徹底、輸送コスト低減対策、マーケットインを意識した出口戦略の強化、中央卸売市場の再整備の方針策定に取り組みます。
 さとうきびについては、生産性向上を図る取組や、製糖工場の老朽化対策に向けた設備の更新整備支援等を推進してまいります。
 担い手の育成・確保や経営力強化に向け、農業大学校の新校舎への移転、新規就業者支援、経営安定対策及び農地の集積・集約化等の促進に取り組むほか、基盤整備については、地域特性に応じた整備や農山漁村地域の強靱化を推進し、生産性と収益性の向上に取り組みます。
 また、耕畜連携などの資源循環や、環境保全型農業の推進、6次産業化支援などを行ってまいります。
 畜産業については、生産基盤の拡大、産業獣医師の確保、飼料自給率の向上等による生産資材価格高騰への対応など、各種施策を推進します。
 林業については、自然環境に配慮した森林施業のほか、ICT技術を活用した森林の精密な地形情報や森林資源情報の把握等に取り組みます。
 水産業については、持続可能な資源管理型漁業や沖縄型のつくり育てる漁業の振興を図ります。
 また、日台漁業取決め及び日中漁業協定等の見直しを求めるとともに、地域外交の一環としてパラオ共和国等との水産技術交流等を着実に進めます。

 働きやすい環境づくりと多様な人材の活躍促進について申し上げます。
 人手不足への対応については、高齢者、障がい者、女性、若年者など幅広い求職者に対する総合的な就業支援に取り組むとともに、正規雇用やUJIターンの促進、外国人材の受入環境整備等を推進するほか、ハローワーク等と連携し、交通や観光をはじめとする幅広い分野の求人情報の提供や、合同企業説明会の開催、民間人材紹介事業者と連携した兼業・副業人材とのマッチングなど、人手不足分野への人材確保支援に取り組みます。また、男性の育児休業取得やワーク・ライフ・バランスの促進など、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組みます。
 県内企業の稼ぐ力の強化とあわせて、奨学金返還支援や所得向上応援企業認証制度の普及拡大、賃上げ促進税制の活用促進など、企業による積極的な人材投資や所得向上につながる取組を推進し、成長と分配の好循環の実現に向け取り組みます。
 人材の育成については、企業や業界団体等が行う実践的な社員研修やリスキリングの取組を支援するとともに、従業員のデジタルリテラシーの向上や、DX推進リーダー、データ活用人材等の専門人材の育成に取り組みます。
 教育分野においては、国際的視野を持ち、社会の変化への対応力と創造性を兼ね備えた人材を育成するため、外国語教育、国際理解教育、ICT環境等の整備など情報教育の充実、科学技術・理数教育の推進等に取り組んでまいります。
 また、産学官相互が恒常的に対話し地域課題の解決を図る「地域連携プラットフォーム(仮称)」の構築に向け引き続き大学等と連携してまいります。

 自立的発展の実現に向けた基盤整備について申し上げます。
 「沖縄県DX推進計画」のもと、職員のリテラシー向上を図るとともに、外部の知見も活用しながら、生活、産業、行政など、様々な分野のDXを推進します。
 過度な自家用車利用から公共交通利用への転換を図るため、沖縄都市モノレールの3両車両を2編成分追加納入し、一日も早い運行開始に取り組むとともに、県民が路線バスを乗車体験する機会を創出します。また、市町村及び交通事業者と協力して基幹バスシステムの導入や交通結節点の整備促進など、切れ目のないシームレスな交通体系の構築に取り組みます。
 「ハシゴ道路」の早期整備を図るため、国が実施する那覇空港自動車道の整備を促進し、南部東道路等の整備を推進するとともに、主要渋滞箇所における渋滞ボトルネック対策についても取り組んでまいります。
 那覇港については、新港ふ頭地区の整備促進や浦添ふ頭地区の早期整備に向けた検討など、将来にわたる沖縄全域の持続可能な発展の推進力となる「みなとづくり」に取り組みます。
 中城湾港については、新港地区における港湾機能の強化・拡充、泡瀬地区におけるスポーツコンベンション拠点の形成、西原与那原地区における大型プレジャーボート等の受入環境の構築に向けて取り組みます。

 第2は、「平和分野」に関して―誇りある豊かさの視点―であります。
 まず、米軍基地から派生する諸問題の解決と駐留軍用地の跡地利用について申し上げます。
 米軍基地が集中することにより、騒音、水質汚染等の環境問題、米軍関係の事件・事故は跡を絶ちません。普天間飛行場、嘉手納飛行場やその他の訓練場の周辺住民は、昼夜を問わない訓練等により、騒音などに苦しめられ続けれています。特に嘉手納飛行場では、騒音や悪臭に加え、外来機の度重なる飛来やパパループの一時使用、無人偵察機MQ‐9の新たな配備、パラシュート降下訓練が行われている状況です。
 こうした沖縄の過重な基地負担を軽減するためには、SACO最終報告や統合計画の確実な実施に加え、更なる米軍基地の整理・縮小が必要です。このため県は、「当面は在日米軍専用施設面積の50パーセント以下を目指す」とする具体的な数値目標の設定と実現を日米両政府に強く求めております。
 普天間飛行場については、引き続き、普天間飛行場負担軽減推進会議等において、県民の目に見える形で負担軽減に取り組むよう求めてまいります。
 また、普天間飛行場の固定化は絶対に許されないことから、県内移設の断念やオスプレイの配備計画の撤回を求める建白書の精神に基づき、同飛行場の一日も早い危険性の除去及び早期運用停止、閉鎖・撤去を日米両政府に求めてまいります。
 辺野古新基地建設問題については、引き続き、トークキャラバン等を通じ、辺野古新基地建設に反対する県民世論及びそれを踏まえた私の考えを広く国内外に伝え、問題解決に向けた国民的議論を喚起し、理解と協力を促してまいります。
 私は、昨年9月に国連人権理事会に出席し、沖縄に米軍基地が集中している状況や県民の平和を希求する思いなどをスピーチしたほか、「米軍基地による人権・自治・環境問題」をテーマにした講演会を開催し、沖縄の過重な基地負担や辺野古新基地建設問題などについて訴えました。また、国連関係者との面談では、私から、米軍基地から派生する様々な問題が人権、環境、自治、私たちの暮らしや文化などを侵害していることを説明し、面談したほとんどの方々から、私の考えに賛同していただきました。
 今後は、国連関係者の沖縄への招へいに取り組むとともに、引き続き、国際社会に対して、沖縄の基地負担の軽減や辺野古新基地建設問題、基地から派生する諸問題の解決の必要性を訴えてまいります。
 また、沖縄県が辺野古新基地建設に関し行った処分について、国は、本来国民の権利利益の救済を図ることを目的とする審査請求を利用し、裁決により処分を取り消すことができるとする一方で、最高裁判決では、その裁決の適法性について現行の法制度では司法の判断を仰ぐことができないことが示されました。地方公共団体が自ら責任を持って行った処分を国が裁決で取り消す「裁定的関与」は、地方公共団体の自主性や自立性ひいては憲法に定める地方自治の本旨からも重大な問題であることから、全国知事会と連携し、地方自治法等の改正による「裁定的関与」の見直しを国に対して強く求めてまいります。沖縄の基地問題の解決を図るためには、日
本政府のみならず、一方の当事者である米国政府に対しても沖縄県自らが直接訴えることが重要であると考えております。これまでの訪米活動やワシントン駐在の活動等においては、連邦議会関係者等に対し、普天間飛行場の現状と辺野古新基地建設の技術的課題をはじめ、米軍基地周辺のPFOS等の問題、米軍人軍属による事件・事故などを説明してきたところであり、今後も、国防権限法案等に沖縄の基地問題に関する記述が反映されるよう継続して働きかけてまいります。
 また、沖縄に理解を示す米国の市民団体等との連携にも取り組んでおり、ワシントン駐在の働きかけの結果、米国の労働者連合は、辺野古新基地建設問題等に反対する沖縄県民への支持と連帯を表明しております。
 さらに、沖縄における基地問題の解決を図るため、ワシントン駐在において、米国内での情報収集及び情報発信、有識者と連携した会議の開催及び連邦議会関係者への働きかけ、影響力を有する人物の沖縄への招へい等に取り組むとともに、私が適切な時期に訪米し、米国政府、連邦議会議員の理解と協力を得るため、沖縄の米軍基地問題の実情等を訴えたいと考えております。
 日米地位協定に関しては、沖縄県が平成29年度から令和4年度にかけて実施した他国地位協定調査の結果を全国知事会や渉外知事会と共有するとともに、他国地位協定調査の結果を総括するシンポジウムを開催したところであり、これらの取組により全国的に認識が広がりつつあると考えております。
 今後も、日米地位協定の抜本的見直しの実現に向けて、様々な機会を捉えて全国に情報を発信するとともに、引き続き、全国知事会や渉外知事会等とも連携して取り組んでまいります。
 基地周辺住民の生活環境の保全を図るため、嘉手納飛行場、普天間飛行場から日常的に発生する航空機騒音の測定・監視調査を実施するとともに、夜間における航空機騒音の実態の把握に努め、日米両政府に対し航空機騒音の軽減を求めてまいります。
 県土構造の再編につながる戦略的な跡地利用の推進に向けて、関係市町村等と連携を図り、普天間飛行場をはじめとした返還予定地の跡地利用計画の策定を促進します。
 尖閣諸島を巡る問題については、中国公船の接続水域における年間航行日数が昨年、過去最多を記録するなど、我が国の領土・主権を侵害しかねない行為が頻繁に生じております。
 昨年11 月の日中首脳会談においては、岸田総理が深刻な懸念を改めて表明するとともに、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築という大きな方向性が確認されております。
 沖縄県としては、引き続き、関係機関と連携を図り、日本政府に対し、冷静かつ平和的な外交・対話を通じて日中関係の改善を図ること等を求めてまいります。

 地域外交の推進について申し上げます。
 沖縄県は、新時代を切り拓き、世界の平和構築や相互発展、国際的課題に貢献する「21世紀の万国津梁」を地域外交の理念とし、これを実現する施策を推進してまいります。
 はじめに、平和を希求する「沖縄のこころ」を広く国内外に発信し、海外の自治体との連携や国際機関等の誘致など、沖縄独自のソフトパワーを活用した国際的な地域間協力を推進し、アジア・太平洋地域の平和構築に資する国際平和創造拠点の形成を目指します。
 また、観光・経済・文化等の分野においては、ウチナーネットワークをはじめとして、これまで培ってきた国際ネットワークを活かし多元的な交流を推進し、民間企業の輸出促進や海外展開などを後押しすることで、経済圏の拡大を図り、沖縄の自立経済の構築に寄与します。
 さらに、本県と類似する地域特性を有する世界の島しょ地域等との共生に向けて、沖縄独自の知見・技術等を活かした国際協力活動を国内外で展開し国際的課題への貢献を目指します。
 加えて、沖縄県の地域外交は、県民、NGO・NPO、企業、関係団体、自治体などの様々な主体及び国が協働・連携することでより相乗効果を発揮することが期待されます。各主体がそれぞれの役割を十分に果たせるよう人材育成や連携促進に取り組んでまいります。

 平和を希求する「沖縄のこころ」の発信と継承について申し上げます。
 悲惨な沖縄戦の記憶が薄れていく中、平和を希求する「沖縄のこころ」を発信する、平和の礎や沖縄平和賞などの取組とともに、沖縄戦の実相・教訓を伝えていくため、平和学習の充実、次世代へ語り継ぐ担い手の育成・確保等の取組を推進してまいります。
 第32軍司令部壕の保存・公開に向けて基本計画を策定するとともに、沖縄県平和祈念資料館のリニューアルに向けて、有識者による監修委員会を設置し基本構想及び基本計画を策定するなど、アジア・太平洋地域の平和発信拠点について、その在り方等の検討を進めてまいります。

 ウチナーネットワークの継承・発展、多文化共生社会の構築について申し上げます。
 ウチナーネットワークの継承・発展・強化に向け、国内外のウチナーンチュとの絶え間ない交流や、交流の架け橋となる人材育成、アジアのみならず、南米や北米、欧州、オセアニアなどの国や地域との交流促進に取り組むほか、世界に約42万人いると言われる世界のウチナーンチュの心の拠り所“むーとぅやー”となる「世界ウチナーンチュセンター(仮称)」を整備します。また、多文化共生社会の構築に向け、在住外国人等が住みやすい地域づくりや県民の異文化・国際理解促進、様々な分野の交流推進に取り組みます。

 心豊かで、安全・安心に暮らせる島づくりについて申し上げます。
 全ての県民の尊厳を等しく守り、互いに尊重し合う共生の社会を目指し、多様な性のあり方に関する理解促進に向けた啓発活動などに引き続き取り組むとともに、不当な差別のない社会の形成に関する施策を推進してまいります。
 女性が社会のあらゆる分野で活躍できるジェンダー平等を実現するため、女性のスキルアップやネットワーク構築等に取り組むとともに、固定的性別役割分担意識の解消に向けた意識啓発等を推進してまいります。
 配偶者からの暴力相談機能等の充実について、関係機関との連携強化、広報啓発等に取り組むとともに、在沖米軍関係者等を相手方とする離婚や養育費等で悩みを抱える県内女性等に対し、国際家事福祉相談所を活用し、相談支援体制の強化を図ってまいります。
 「沖縄県犯罪被害者等支援計画」に基づき、犯罪被害者等支援に関する各種施策の推進に取り組むとともに、消費者被害の相談体制の充実、消費者啓発、ライフステージに応じた消費者教育などの推進に取り組みます。
 深刻化するサイバー空間の脅威や薬物事案、組織犯罪等多様化する犯罪に的確に対処するため、警察施設を含む基盤整備を推進するほか、交通事故のない沖縄県を目指して、交通ルールの遵守及びマナー向上並びに飲酒運転根絶の取組を推進します。
 また、水難事故防止対策、DV・ストーカー事案への対処、性犯罪等の未然防止など部局横断的な取組を推進するほか、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」に基づく社会の変化を捉えた犯罪抑止対策や適正飲酒の働きかけを推進し、「ちゅらさん運動」を一層深化させます。
 加えて、観光客に安全・安心なマリンレジャーを提供するため、海の危険性及び正しい知識を「おきなわマリンセーフティ」において周知広報するとともに、水難事故多発エリアを中心にライフセーバーによる海の安全講習会を実施し、水難事故防止に向けて取り組んでまいります。
 大規模災害等に備えた強くしなやかな県土づくりに向けては、道路、港湾、河川、砂防関係施設、海岸保全施設等社会基盤の計画的な整備や補修・更新・耐震補強等のハード対策と併せて、河川流域全体で関係者が協働し水害を軽減させる流域治水など防災・減災対策に取り組むほか、民間施設などの耐震化に向けた取組を推進します。
 戦後処理問題については、不発弾処理の早期解決及び国と連携した戦没者の遺骨収集の推進に取り組むとともに、早期の所有者不明土地問題解決に向け取り組んでまいります。

 第3は「生活分野」に関して―沖縄らしい優しい社会の構築の視点―であります。
 まずは、子育て支援・福祉サービスの充実について申し上げます。
 「沖縄子どもの未来県民会議」と連携して、児童養護施設退所者等の大学等進学のための給付型奨学金など、子どもの学びと育ちを社会全体で支える県民運動を推進するとともに、公的施設を活用した放課後児童クラブの設置促進など子どもの安全・安心な居場所等の設置・拡充や、子ども食堂等への食支援体制の強化、無料塾などの多様な学習支援に取り組みます。
 ひとり親家庭等の生活の支援、就労や学び直しの支援等、生活の安定と自立に向けた取組を推進します。
 こども施策と母子保健施策を一体的に推進することにより、こどもの発達に応じた地域の子ども・子育て支援に早期につなげるとともに、病児保育や一時預かり保育、医療的ケア児の受け入れ等の多様な子育てサービスの提供体制の整備に取り組みます。また、こども医療費助成、「母子健康包括支援センター」の設置促進及び機能充実など、子育て支援を推進してまいります。
 若年妊産婦等については、相談支援や通所型居場所の支援に取り組む他、令和5年10月に開設した宿泊型居場所と連携のうえ、支援体制の強化を図ってまいります。
 待機児童の解消を図るため、保育士の処遇や労働環境の改善等、保育士の確保・定着に取り組むとともに、認可外保育施設を含めた幼児教育・保育の安全確保と質の向上に取り組みます。
 社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者及びその家族等に対しては、関係機関と連携し、多角的な支援に取り組みます。
 こどもの権利擁護を念頭に、児童虐待に対する取組を強化するとともに、里親支援センターの設置や、里親制度の更なる普及・啓発活動の推進による里親等への支援の充実、家庭的養護の推進、児童養護施設等の退所者の自立支援に取り組みます。
 多様化・複雑化している地域住民の抱える課題の解決を図るため、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の構築に取り組んでまいります。
 高齢者が生き生きと暮らせる地域づくりに向けて、地域包括ケアシステムの推進、認知症施策、特別養護老人ホーム等の整備や介護人材確保等の支援など介護サービス等の充実に取り組んでまいります。
 障害のある人が地域で安心して暮らし社会参加をしていくため、医療的ケア児への支援体制の強化や障害者芸術文化活動支援センターの設置等に取り組みます。
 また、関係機関と連携した非行防止活動や立ち直り支援により、少年の規範意識の向上と健全育成に取り組みます。

 医療の充実・健康福祉社会の実現について申し上げます。
 医療の提供体制の充実に向けては、現状を踏まえ、地域医療連携体制の強化や不足が見込まれる医療機能の病床の整備などに取り組むとともに、北部、離島地域の医師不足及び県内全域における医師の診療科偏在の解消、看護師等の確保と資質向上などに取り組んでまいります。
 薬剤師確保については、令和5年12月に薬学部設置等の対応方策について協議を行う場の設置に合意した琉球大学との協議を進め、県内における薬学部設置の早期実現に向け、取り組みます。
 北部地域については、公立沖縄北部医療センターの早期整備に向けて、実施設計及び運営主体となる財団法人の設立準備に取り組み、離島地域については、離島診療所への医師派遣や専門医による巡回診療などによる医療提供体制の確保、離島患者の経済的負担の軽減などに取り組んでまいります。
 県立中部病院については、将来の建替等も含めた基本構想を策定し、機能強化等に向けて取り組んでまいります。
 将来子どもを持つことを望む若いがん患者に対して、子どもの出産可能性を温存するために要する費用の一部を助成し、経済的な負担の軽減を図ります。
 感染症対策については、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえ、あらゆる感染症を想定し、検査体制を迅速に構築できる環境整備、各種予防接種の接種率向上、結核のまん延防止等に取り組んでまいります。
 健康づくりに対する県民一人ひとりの意識の醸成、生活習慣を改善するための環境整備、地域や職場等の日常生活における健康づくりを官民一体となって取り組むとともに、昨年6月に設置した沖縄県口腔保健支援センターの取組等、歯科口腔保健対策の強化を図ります。

 生活基盤及び生活環境の充実・強化について申し上げます。
 令和6年10月からの水道料金改定を踏まえて、より一層の経営合理化に取り組むとともに、水道水の安定供給を図るため、老朽化した水道施設の着実な更新や耐震化、本島周辺離島8村の水道広域化、ダムの貯水率に応じた海水淡水化施設の活用などに取り組んでまいります。
 また、安心・安全で持続可能な下水道事業実施に向けて、下水道資源の有効利用、民間活力の導入検討、計画的な施設の増強・更新・耐震化や、都市の浸水対策に取り組みます。
 住環境の整備では、県営住宅の計画的な建替え等の推進、高齢者・子育て世帯等の住宅確保要配慮者の居住の安定確保、住宅の省エネ化等に取り組んでまいります。
 災害時の避難場所、緑と触れあう憩いの場、レクリエーション活動の場としての都市公園整備を推進します。

 離島・過疎地域の持続可能な地域づくりについて申し上げます。
 離島地域においては、離島の資源と魅力を生かした産業振興を図るため、「離島フェア」等の開催やデジタル技術の活用を含む離島特産品の販路拡大・プロモーション支援のほか、離島観光ツアーの造成、ICTを活用したテレワーカーの育成等に取り組みます。
 また、離島・過疎地域の活性化を図るため、児童の離島体験交流をはじめ、離島住民との交流を含むボランティアツアーの造成、ワーケーションの推進等による交流人口及び関係人口の創出・拡大に取り組むとともに、人口の維持・増加を図るため、移住情報を広く発信し、移住希望者の相談に随時対応するほか、移住相談会や体験ツアーの実施など、移住・定住の促進に取り組みます。
 情報通信については、公共施設へのWi-Fi整備により利便性の向上を図るとともに、南大東島と北大東島を結ぶ海底光ケーブルの整備については、令和7年度供用開始に向け取り組んでまいります。
 離島航空路の確保と維持に向けて、計画的な空港施設の更新整備と機能向上に取り組むほか、離島港湾について、海上交通の安全性・安定性の確保など、港湾機能の強化・拡充を図ります。また、県道石垣空港線を整備するなど、空港、港湾等の交通拠点を相互に連結させる取組を推進するとともに、路線バスの確保・維持に取り組みます。

 世界に誇る自然環境・生物多様性の保全・継承について申し上げます。
 環境分野においては、自然環境の保全・再生・適正利用や地球温暖化対策などを推進するとともに、持続可能な循環型社会の構築などを目指します。
 本県の自然環境の保全・継承を図るため、希少野生動植物や沖縄固有種の保護対策、外来種対策や、国立自然史博物館のあり方に関する基本方針等の策定に向けた調査・検討や更なる機運醸成の推進、赤土等の流出の更なる防止に向けた総合的な赤土等流出防止対策の推進に取り組むとともに、地域猫活動につながる支援など動物愛護の取組を引き続き推進します。また、北部地域の水源かん養機能の維持や環境保全、地域振興などやんばるの森・いのちの水を守る取組を推進します。
 脱炭素社会の実現に向けて、事業用車両の電動化にかかる補助対象の拡大等により、取組を強化するとともに、循環型社会の構築に向けて廃棄物の3Rや適正かつ効率的な処理体制の構築、使い捨てプラスチック製品の使用削減等に取り組みます。
 また、「沖縄県食品ロス削減推進計画」に基づき、食品ロス削減に向けた各種施策の推進に取り組みます。

 沖縄文化の保存・継承・創造と更なる発展について申し上げます。
 琉球歴史文化の日を中心に、沖縄の歴史と文化への理解を深め、国内外へ発信するとともに、多様で豊かな沖縄文化を守り、育むための取組を推進します。
 また、全県的かつ横断的なしまくとぅば県民運動の推進、伝統的な食文化の普及、様々な文化の担い手の育成や、文化芸術を支える基盤の強化、県民の文化芸術活動の充実や文化資源を活用した地域づくり等に取り組みます。
 沖縄空手の保存・継承・発展のため、指導者・後継者の育成や沖縄空手会館を拠点とした「空手発祥の地・沖縄」の発信、第2回沖縄空手少年少女世界大会の開催に取り組むとともに、空手ツーリズム等を推進してまいります。
 沖縄の貴重な文化財を後世に継承するために、保存状態を考慮した活用を図るとともに、新たな指定に向けた調査や戦災文化財の復元等を推進します。

 教育振興について申し上げます。
 学校教育については、幼児児童生徒が豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となるよう、学校の特色化・魅力化に取り組んでまいります。
 また、幼児児童生徒が、障害の有無にかかわらず可能な限り共に学ぶことを追求するとともに、障害のある生徒等の自立と社会参加を見据えた特別支援教育の充実を図ってまいります。
 教職員が心身共に健康で本来の職務に専念し、働きやすさと働きがいを実感できる環境整備に向け、学校の働き方改革及びメンタルヘルス対策を着実に推進するとともに、教職員の確保に取り組んでまいります。
 確かな学力を身に付ける学校教育の充実に向け、主体的・対話的で深い学びを通した学力向上の推進と教職員の指導力向上に取り組んでまいります。
 高校未設置離島からの居住費等を支援し、家庭の経済的負担軽減に取り組みます。
 不登校児童生徒への支援を行う校内自立支援室の設置、魅力ある学校づくりの推進によるいじめや不登校の未然防止、組織的な早期対応等、児童生徒支援体制の構築に取り組んでまいります。
 学校における体力向上や食育などの健康教育、交通安全・災害安全等の安全教育を推進し「生命(いのち)の安全教育」に取り組むほか、安心して学べる学校施設の整備に取り組みます。
 また、教科や総合的な学習等において、地域の歴史や平和に関する学習などに取り組みます。
 生涯学習環境の充実を図るため、各種関係機関等との連携・協働により、学習情報や学習機会を提供できる体制づくりに取り組みます。
 子どもたちが未来に夢と志を持てるよう、教育活動全体を通して、個々の能力を伸ばす教育やキャリア教育の充実を図り、社会的・職業的自立に向けた取組を推進してまいります。

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