辺野古新基地建設問題Q&A
- Q1 なぜ辺野古移設に反対なのですか。
- Q2 辺野古の埋立ては進んでおり、反対しても意味がないのではないですか。
- Q3 辺野古移設に反対するということは、わが国の安全保障は不要との考えですか。
- Q4 軍事的・地理的な理由から、沖縄に基地が集中するのは仕方がないのではないですか。
- Q5 軟弱地盤などの新基地建設の問題点を教えてください。
- Q6 免許や承認を得た後に、設計概要を変更する必要が生じるのはよくあることで、変更承認申請を不承認とすることはおかしいのではないですか。
- Q7 現在の辺野古移設計画は、政府と県で一緒に進めてきたものではないですか。
- Q8 辺野古移設に反対するということは、普天間飛行場の危険性はそのままでよいとの考えですか。
- Q9 反対するのであれば、代替案を示す必要があるのではないですか。
- Q10 米軍基地がなくなったら沖縄の経済に悪影響があるのではないですか。
- Q11 なぜ辺野古新基地と呼んでいるのですか。
- Q12 辺野古新基地建設を阻止する方法はありますか。
Q1 なぜ辺野古移設に反対なのですか。
大きく4つの理由があります。
- 既に異常としか言いようのない過重な基地負担を抱えていること。
- 辺野古移設に反対する民意があること。
- 辺野古・大浦湾の豊かな自然環境が破壊されてしまうこと。
- 辺野古移設では普天間飛行場の一日も早い危険性の除去にはつながらないこと。
Q2 辺野古の埋立ては進んでおり、反対しても意味がないのではないですか。
代替施設建設のための埋立区域は、次に示すように、辺野古側(緑色)と大浦湾側(黄色)に分けて考えることができます。
【代替施設建設計画の略図】
赤枠側囲い
埋立区域(全体)
面積:約153ha
埋立土量:約2,045万立方メートル
緑色部分
辺野古側の埋立区域(埋立区域(2)と(2)-1)
面積:約37ha
埋立てに必要な土量:約319万立方メートル
黄色部分
大浦湾側の埋立区域(埋立区域(1)、(3)-2~5)
面積:約113ha
埋立てに必要な土量:約1,707万立方メートル
現在、土砂の埋立てが行われているのは、辺野古側(緑色)のみであり、大浦湾側(黄色)では行われていません。大浦湾側の大部分に軟弱地盤が存在するため、地盤改良が必要なためです(沖縄防衛局は、当初、地盤改良は必要ないと出願して承認を得ているため、変更承認を得ない限り地盤改良工事を行うことはできません。)。
まだ埋立ての行われていない大浦湾側は、辺野古側の面積の3倍以上、必要な埋立土量で5倍以上という大規模な埋立区域ということができます。
現在の埋立ての状況については、次に示すとおりです。
令和4年10月末時点の埋立土量は、辺野古側(前掲の略図の緑色の部分)における約256万立方メートルに過ぎず、工事の進捗を埋立全体に必要な土量で考えた場合、約12.4パーセントにとどまります。
大部分を占める大浦湾側(前掲の略図の黄色の部分)の埋立ては、変更承認を得ない限り行うことができません。時間が経てば埋立てが進んでいくというものではないのです。(仮に、今後、辺野古側の埋立てを全て行ったとしても、埋立面積では本来の約4分の1、埋立土量では本来の約6分の1までしか埋立てを進めることはできないのです。)
Q3 辺野古移設に反対するということは、わが国の安全保障は不要との考えですか。
そうではありません。
沖縄県は、日米安全保障体制や自衛隊の必要性を理解する立場です。
沖縄県は、「基地のない平和の島」の実現を目指していますが、現在、次に示すような現存する多くの米軍基地・自衛隊基地の全てをなくすことを政府に要望しているわけではありません。
沖縄県には、普天間飛行場(米海兵隊)のほかにも、極東で最大かつ最も活発な米空軍基地とされる嘉手納飛行場(米空軍。面積約2千万平方メートル、長さ約3.7千mの滑走路2本)や、キャンプ・ハンセン(米海兵隊。実弾射撃訓練などの訓練地区を含み、面積約5千万平方メートル。)、キャンプ・シュワブ(米海兵隊。普天間飛行場を移設しなくとも、ヘリコプターの訓練や水陸両用訓練、実弾射撃訓練等を行うことが可能で、面積は約2千万平方メートル。)、牧港補給地区(米海兵隊。主に倉庫地区、隊舎地区、住宅地区からなる。海兵隊のみならず在沖米軍の整備・補給等の兵站基地としての役割を担っている。面積は約270万平方メートル。)、キャンプ・コートニー(米海兵隊。有事に際し空陸一体となった即応作戦を展開する実戦部隊が配置。面積は約130万平方メートル。)、キャンプ・瑞慶覧(米海兵隊。海兵隊基地司令部等が使用し、海兵隊の中枢機能を有している。面積は約5百万平方メートル。)、トリイ通信施設(米陸軍。グリンベレー部隊などが駐留。面積は約190万平方メートル。)、那覇港湾施設(米陸軍。港湾施設を有し、揚陸艦等が利用。面積は約60万平方メートル。)、ホワイト・ビーチ(米海軍。長さ850メートル及び450メートルの二つの桟橋を持ち、面積は約150万平方メートル。)など、31の米軍専用施設があり、その総面積は約1万8千ヘクタール、本県の総面積の約8%、沖縄本島の約15%の面積を占めています。国土面積の約0.6%しかない沖縄県に、全国の米軍専用施設面積の約70.3%が集中しています。
また、陸上だけではなく、沖縄県及びその周辺には、水域27か所、空域20か所が訓練区域として米軍管理下に置かれています。
- 沖縄の米軍基地及び訓練区域について (PDF 77.5KB)
-
米軍基地
各基地の詳細等
さらに、本県には、米軍基地だけではなく、F15戦闘機40機程度などを有する航空自衛隊那覇基地をはじめ、55の自衛隊施設(総面積約780万平方メートル)が存在しています(令和3年3月末時点)。
安全保障は我が国全体の問題です。安全保障が重要であるならば、その負担の在り方も我が国全体で考え、分かち合う必要があります。
沖縄の過重な基地負担は軽減される必要があり、沖縄にこれ以上新たな米軍基地は必要ないと考えています。
Q4 軍事的・地理的な理由から、沖縄に基地が集中するのは仕方がないのではないですか。
いいえ。これほどの基地の集中を説明できる軍事的・地理的な理由は存在しないと考えています。
沖縄の米軍基地の立地に関し、日米の閣僚経験者は、「軍事上、沖縄の位置は特別ではなく、政治的・経済的な問題である」旨の発言をしています。
沖縄の基地負担軽減について、日本政府は、「移設先となる本土の理解が得られないこと」を成果が出なかった理由の一つとして国会で答弁しています。
さらに、近年、我が国の近隣諸国のミサイル技術の向上を背景に、基地を集中させることのリスクが懸念されており、米国のシンクタンク等からは、沖縄に所在する米軍基地は近隣諸国からのミサイル攻撃で使用できなくなるとの指摘や、沖縄に所在する米軍基地に駐留する部隊の日本国内への分散配備の提案がなされています。純粋な防衛力の確保の観点からも、基地の過度な集中には疑問があるのです。
辺野古新基地建設については、今後、地盤改良工事を開始してから基地として提供されるまで約12年を要し、総費用は約9,300億円であることが政府から発表されています(沖縄県は、地盤調査不足や工法の懸念などから、辺野古新基地の完成は不確実だと考えています)。このような計画は、軍事的な観点からしても合理的であるのか大きな疑問があります。
Q5 軟弱地盤などの新基地建設の問題点を教えてください。
1 大浦湾側は深い谷底地形となっており、大規模な軟弱地盤が存在しています。
水深図(東側護岸が大浦湾側です。)
- 水深図 (PDF 799.7KB)
-
地層縦断図 (PDF 910.7KB)
(B‐27地点が軟弱地盤が最も深い場所です。)
2 最も重要な地点の地盤調査が行われていません。
軟弱地盤が海面から90メートルの深さに達するB-27地点については、未改良地盤が残らざるを得ないにも関わらず、地盤の強度の把握を目的とした力学的試験すらも行われておらず、地点周辺の性状等が適切に考慮されておりません。
3 工事の方法は国内で初めてものです。
地盤改良として改良径2メートル及び1.6メートルの砂杭を、東側護岸の約1キロメートルに約1万6千本打設することとなっており、その打込深度70メートル以上に対応可能な国内のサンド・コンパクション・パイル作業船3隻すべて使用し、しかもそのうち2隻は改造が前提となるなど、前例のない大規模かつ高度な地盤改良工事を実施するものです。
4 設計の安全性が十分ではありません。
大規模な軟弱地盤が存在し、国内で前例のない大規模かつ高度な地盤改良工事を行うにもかかわらず、最も重要な地点の地盤調査が行われておらず、しかも、設計上の安全性が十分に確保されていないという問題があります。
Q6 免許や承認を得た後に、設計概要を変更する必要が生じるのはよくあることで、変更承認申請を不承認とすることはおかしいのではないですか。
いいえ。
免許や承認を得た後に、軽微な設計概要の変更を行う場合で、当初の目的を達成できる場合には、通常は変更について許可・承認を行うことになります(変更内容が公有水面埋立法の要件を満たす必要があります。)。
しかし、本件の変更内容は、次に示すように、軽微なものとは全くいえず、当初の目的を失するようなものであり、変更は認められないと考えています。
【変更部分】は、Q2で示した大浦湾側の大半に(当初は一切必要がないとされていた)地盤改良を行うというものであり、極めて大きな変更となっています。
【変更する内容】は、地盤改良として改良径2メートル及び1.6メートルの砂杭を、東側護岸の約1キロメートルに約1万6千本打設することとなっており、その打込深度70メートル以上に対応可能な国内のサンド・コンパクション・パイル作業船3隻すべて使用し、しかもそのうち2隻は改造が前提となるなど、技術的にも前例のない特殊ないわば未知の工事を実施するものです。
【変更する工期】は、当初の出願・承認と比べて実質3倍以上とするものです。沖縄県は、平成25年12月に、5年で埋立てを完成させるとの沖縄防衛局の出願を承認しました。しかし、沖縄防衛局は、(承認から6年余りが経過した)令和2年4月に、承認を得た内容では工事は行えず、地盤改良工事の追加が必要であるとして、今後、変更承認を得た後に要する埋立工事の工期を9年余り(基地として提供されるまで約12年)と示して変更承認申請を行いました。
(沖縄防衛局の平成25年の出願に係る添付図書「埋立必要理由書」には、「普天間飛行場の危険性を早期に除去する必要があり、極力短期間で移設できる案が望ましい」と示されており、同添付図書「設計概要説明書」には、5年で埋立てを完成させる計画が示されていました。つまり、承認出願に示された工期の実に3倍以上もの長期間を要するとの変更は、埋立ての目的である「普天間飛行場の危険性を早期に除去」することにつながらないことが明らかとなっているのです。)
以上のような変更は、当然、沖縄県で前例のないものです。「他の事業であれば認めているような変更である」とは全く言えないのです。
沖縄県は、沖縄防衛局による変更承認申請の内容は、公有水面埋立法13条の2第1項の「正当の事由」、4条1項1号の「国土利用上適正かつ合理的なること」、埋立ての必要性、同項2号の「環境保全及び災害防止に十分配慮」の要件を満たさないものと考えており、令和3年11月に不承認処分を行ったところです。
Q7 現在の辺野古移設計画は、政府と県で一緒に進めてきたものではないですか。
いいえ。
沖縄県は、代替施設について、軍民共用空港とすること、米軍の使用については15年の使用期限を設けることを条件としていました(1999年11月24日)。
政府は、これを踏まえた閣議決定(1999年12月28日)を行っていましたが、後に、沖縄県と十分な協議を行うことなく、この閣議決定を廃止しました(2006年5月30日閣議決定)。
それ以降、沖縄県は、辺野古移設に反対していました。
沖縄県が2013年に埋立承認を行ったのは、沖縄県が一貫して辺野古移設に反対していたにもかかわらず、政府が2プラス2の共同発表や新たな閣議決定を強行し埋立承認出願を行ったこと、その一方で、出願の内容は、地盤改良を行う必要がなく、5年で埋立工事を完成させるとの内容であったことから、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去の必要性を踏まえた上でのやむを得ない判断でした。
しかし、その後、埋立承認から9年余りが経過しますが、Q2の答えで示したように、完成には程遠い状況です。また、2020年に沖縄防衛局からなされた変更承認申請については、申請内容の工事が行えるか、示された工期で終了するか等について大きな懸念があるものと考えており、2021年に不承認処分を行ったところです。
経緯の詳細については以下からご覧ください。
Q8 辺野古移設に反対するということは、普天間飛行場の危険性はそのままでよいとの考えですか。
いいえ。
普天間飛行場は、市街地の中心部に位置しており、住民生活に著しい影響を与えていることから、周辺住民の航空機事故への不安や騒音被害などを解消することは喫緊の課題であり、同飛行場の一日も早い危険性の除去と早期閉鎖・返還は県民の強い願いです。
沖縄県は、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去にはつながらないことを理由のひとつとして辺野古新基地建設に反対しています。
つまり、普天間飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であるからこそ、今後長期間をかけて完成できるかも分からない辺野古新基地建設を進めるのではなく、他の方法を考えるべきだと考えています。
Q9 反対するのであれば、代替案を示す必要があるのではないですか。
普天間飛行場の代替施設については、我が国の安全保障の問題であることから、辺野古以外の代替案については、国民を主体とした国民的議論を踏まえて決定されるべきものと考えています。
玉城知事の就任後、全国で少なくとも60以上の地方議会で国民的議論を求める陳情書等が可決又は採択されるなど、県や県民の取組に呼応した共感の輪が広がりつつあります。
また、沖縄県は、辺野古移設問題については対話による解決が必要であると考えており、率直な話し合いを行うことで、解決の糸口を探りたいと考えています。
Q10 米軍基地がなくなったら沖縄の経済に悪影響があるのではないですか。
復帰後の沖縄経済は、就業者数の増加や観光、情報通信産業等の成長など、確実に発展してきました。
基地関連収入が県民総所得に占める割合は、復帰前の昭和40年度には30.4%でしたが、平成29年度には6%まで大幅に低下しており、基地関連収入が県経済に与える影響は限定的なものとなっています。
むしろ、米軍基地が整理縮小され、返還後の跡地利用が進めば、県経済に好影響を与えると考えます。
全国でも有数の高い人口密度となっている沖縄県の中南部都市圏において、市街地を分断する形で広大な米軍基地が存在し、都市機能、交通体系、土地利用などの面で県経済の発展を阻害させています。
既に返還された駐留軍用地の跡地利用に伴う経済効果を試算すると、返還前と比べて直接経済効果が約28倍、雇用者数が約72倍となっています。
なお、沖縄振興特別措置法及び同法による政府基本方針に基づく施策は、1945年から1972年までの26年余りにわたりわが国の施政権の外にあった歴史的事情等の「特殊な諸事情」を踏まえてなされているもので、米軍基地の受け入れと引き換えのものではありません。また、沖縄振興予算は、他県にはない独自の仕組みであるため、しばしば誤解されることがありますが、他県であれば各省庁が個別に計上する費用等が内閣府沖縄担当部局が一括して計上する仕組みになっているものであり、他県と同様の交付金・補助金の枠組みに加えてさらに別途上乗せされているものではありません。
詳細については「沖縄から伝えたい。米軍基地の話。Q&A」 Q14~Q17をご覧ください。
Q11 なぜ辺野古新基地と呼んでいるのですか。
普天間飛行場代替施設建設計画は、弾薬搭載エリア、係船機能付き護岸、2本の滑走路の新設など、現在の普天間飛行場と異なる機能等を備えることとされており、単なる代替施設ではないことから、辺野古新基地と呼んでいます。
Q12 辺野古新基地建設を阻止する方法はありますか。
県としては、不承認処分に対する裁決や是正の指示が違法・無効であると考えていることから、争訟において適切に対応しているところです。政府は、変更承認が得られない限り、辺野古新基地建設を完成させることはできません。
(不承認を巡る争訟については以下からご覧ください。。)
一方、県は、かねてから辺野古新基地建設問題について、対話による解決の必要性と重要性を繰り返し述べております。今後も、政府に対し、対話によって解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く求めているところです。
また、辺野古新基地建設問題は、国民全体で議論し、民主的に解決を図るべきであることについても、繰り返し述べてきました。
県は、これまでにも辺野古新基地建設問題及び日米地位協定の問題について、広く周知を図り、問題解決に向けた国民的議論の機運醸成を目的としたトークキャラバンを実施してきたところです。
今後とも、このホームページを含めたインターネットやSNSを活用するなど、辺野古新基地建設問題に係る情報発信をいっそう充実させ、国民世論を喚起するとともに、辺野古新基地建設が唯一の解決策ではないことを訴え、普天間飛行場の早期閉鎖・返還を求めてまいります。皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いします。
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このページに関するお問い合わせ
沖縄県 知事公室 辺野古新基地建設問題対策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟6階(南側)
電話:098-866-7495
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