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更新日:2016年3月10日
・ジカウイルス感染症は、主にヤブ蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることで感染するウイルス感染症です。発症するまでの潜伏期間は、2~12日間(多くは2~7日間)です。症状は、発熱や発疹などで、デング熱の症状と似ています(症状だけで区別するのは難しいとされます)。ただし一般的にデング熱より軽症で大半の患者は重症化することなく数日程度で回復します。また感染者のうち約20%しか発症しないとされます。特異的治療法はなく対症療法が主となります。また、使用できるワクチンはないので、感染予防には、まず第一に流行地で蚊にさされないことが重要です。
・ジカウイルス感染症は一般的に軽症ですが、問題は、妊娠中に感染すると生まれてくる子供に小頭症(知能発育障害等)などの先天性障害を起こす恐れがあることがあります。また、子供に限りませんが四肢の筋力低下などの神経症状を呈するギランバレー症候群との関連性も示唆されてもいます。現在、流行国やWHOを中心に、小頭症やギランバレー症候群とジカウイルス感染症との関連性や因果関係について詳しい調査が行われています。
26の流行地:バルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、セントビンセント、スリナム、トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、サモア、マーシャル、トンガ、タイ、カーボヴェルデ(3/10現在。最新情報は、外務省ホームページの海外安全情報を参照) (http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1 )
・ジカウイルス感染症が、感染症法で指定された4類感染症になりました(2/5~)。診断した医師は保健所に届出が必要です。また、医師の診察によってジカウイルス感染症が疑われた段階で、保健所を介し地方衛生研究所等で確定診断の検査(PCRやIgM抗体検出など)ができます。
・ジカウイルス感染症を疑う症例の用件は以下となっています。医師は、以下の用件をみたし疑う症例と判断した場合、最寄りの保健所にご相談ください。
次の(1)~(3)にすべて該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでない場合、ジカウイルスへの感染が疑われるため、ジカウイルス感染症を鑑別診断の対象とする。ただし、医師がジカウイルス感染症を疑う症例については、この限りではない。
(1) 「発疹」又は「発熱(※1)」を認める
(2) 「関節痛」、「関節炎」又は「結膜炎(非滲出性、充血性)」のうち少なくとも1つ以上の症状を認める
(3) 流行地域(※2)の国から出国後2~13日以内に上記の症状を呈している
※1 発熱は、ほとんどの症例で38.5度以下との報告がある
(http://www.wpro.who.int/mediacentre/factsheets/fs_05182015_zika/en/ )
※2 流行地域
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000113142.html )
○中南米・カリブ海地域:アルバ、バルバドス、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キュラソー島、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セント・マーティン島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ
○オセアニア太平洋諸島:米領サモア、マーシャル諸島、サモア、トンガ
○アフリカ:カーボベルデ
○アジア地域:タイ
・ジカウイルス感染症の届出基準の詳細や届出票は、厚労省のホームページを参照してください。 (http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-44.html )
・普段から蚊の駆除対策を行いましょう。特に、人が集まり、蚊が生息していそうな草地等がある施設・庭などが重要です。
・ジカウイルス感染症は、蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ等)が媒介する感染症です。現在のところ日本国内でジカウイルス感染症の発生はありませんが、媒介する能力を持つヒトスジシマカは存在しています(ネッタイシマカは生息せず)。蚊を駆除することは、流行している国から持ち込まれた後に(輸入感染を契機に)、日本で感染を拡大させないために重要です。また他にも、蚊が媒介する感染症としてデング熱、チクングニア熱、日本脳炎などがあり、蚊の駆除はこれらの感染症対策においても効果をもたらします。
・普段から行う蚊の駆除対策において、蚊の幼虫の発生源をなくすことが重要です。特にヒトスジシマカは、私たちの身近にある水たまりに卵を産むため、このような場所が発生源になります。例えば、放置した空き缶やバケツ、古タイヤ、鉢の水の受け皿、雨水などによる小さな水たまりなどが発生源になりえます。対策として、植木鉢やプランターの水の受け皿は週に1回水をすてる、屋外に放置されている容器は撤去したり雨のあたらない場所に移動する、撤去できない物には水がたまらないように覆いをかぶせるなど、不要な水たまりをつくらないようにしましょう。
・成虫対策としては、雑草などを伸ばし放題にはせずに、定期的に草刈りをしましょう。
・普段から蚊に刺されないようにしましょう。蚊がいる場所で活動する場合、長袖・長ズボン着るなどして肌の露出を減らし、虫よけ剤を使用しましょう。屋内でも網戸や忌避剤を用いて蚊の侵入を防ぎましょう。
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