疫学統計・解析委員会資料(令和3年8月2日-8月8日)

ページ番号1018240  更新日 2024年1月11日

印刷大きな文字で印刷

解説および資料(令和3年8月2日-8月8日)

現状

沖縄県における先週(8月2日-8日)の新規陽性者数は、3,712人(前週 2,461人)でした。沖縄本島(周辺離島を含む)における週あたりの実効再生産数(R)は1.52(95%CrI:1.47,1.57)であり、前週の2.62から勢いを落としていますが、感染拡大が続いています(図1)。

グラフ:陽性者数の推移と実効再生産数(北部、中部、南部)

グラフ:沖縄県における性年齢階級別症例数(8月2日~8日)

年代別では、20代が985人(27%)と最多であり、30代 676人(18%)が続きます。もっとも増加していたのは、10歳未満で先週比 2.24倍と最大でした(図2)。小児における感染拡大が著明であり、小児への感染性を高めたデルタ株への置き換わりが背景にあると考えられます。
園児、生徒、学生の感染事例が、全体の17%を占めています。内訳は、保育園・幼稚園児 63人(前週 26人)、小学生 257人(前週 143人)、中学生 104人(前週 79人)、高校生 118人(前週 49人)、大学生 39人(前週 27人)、専門学校生 36人(前週 33人)でした。小学生の増加が顕著です。夏休みになっていますが、主たる感染は家庭内で生じています。また、学童クラブでの感染事例も散見されます。
疫学調査で明らかにできた範囲において、職業別で最多だったのは飲食店従業員 193人(5%)でした。このうち接待を伴う飲食店の従業員が14人ですが、宮古島市など離島で確認されています。次いで、建設業従事者 161人(4%)、小売店従業員 94人(3%)、医療従事者 75人(2%)、観光従事者 72人(2%)と続きます。とくにホテル従業員の感染事例が、7月19日の週 7人、26日の週 24人、先週 48人と増加が続いています。感染対策を再確認するとともに、スタッフへのワクチン接種を進めてください。

グラフ:年齢別陽性者数の推移(週あたり)

65歳以上の高齢者は206人(6%)であり、前週の172人より増加していますが、全体に占める割合は低下しています(図3)。また、このうち37人は同一の医療機関における院内感染であり、高齢者の市中感染が拡がっている印象はありません。ただし、施設入所者 13人、デイ利用者 4人の感染が確認され、とくにワクチン接種が完了していない介護施設では感染対策の徹底をお願いします。

グラフ:医療圏別にみる新規陽性者数の推移

医療圏別では、北部 145人(前週 80人)、中部 1557人(前週 1049人)、那覇市 918人(前週 618人)、南部 893人(前週 622人)、宮古 89人(前週 38人)、八重山 73人(前週 26人)でした(図4)。全県的に拡大していますが、とくに北部、宮古、八重山で加速しています。なお、宮古医療圏の実効再生産数(R)は2.29(95%CrI:1.83,2.81)であり、八重山医療圏は2.67 (95%CrI:2.03,3.40)でした。
疫学調査で明らかにできた範囲において、渡航関連での感染者は52人(1.4%)でした。内訳は、県外へ渡航した県民が16人、県外からの渡航者36人です。本土での流行を受けて増加しています。帰省、出張、観光を含めて、不要不急の渡航は原則として延期いただくようお願いします。

イラスト:市町村別にみる新規陽性者数(先週の上位10市町村)

市町村別では、那覇市917人(前週 618人)、沖縄市534人(前週 317人)、うるま市467人(前週 360人)、浦添市310人(前週 189人)、宜野湾市215人(前週 160人)でした(図5)。先週に引き続き、都市部での感染拡大が顕著ですが、とくに急速な増加を認めたのは、本部町(4.6倍)、金武町(3.3倍)、石垣市(2.5倍)、宜野座村(2.5倍)、宮古島市(2.3倍)でした。

グラフ:新規陽性者数および重症度別入院患者数

入院患者数は、先週末(8月8日)が618人(8月1日 526人)と過去最多となっています。酸素投与など中等症患者 486人(8月1日 340人)に至っており、入院患者に占める割合は65%から79%に増加しました。入院の判断が厳しくなってきています。また、気管挿管など重症患者 15人(8月1日 6人)と急速に増加しています(図6)。重症者の医療提供も厳しくなっています。
沖縄県内で流行しているウイルスは、デルタ株へと置き換わりが進んでいます。先週、754検体について変異株(L452R)PCRを実施したところ、595検体(78.9%)において陽性を確認しました。沖縄県では、ほぼインド由来のデルタ株への置き換わりが終わったと考えられます。

イラスト:今後1週間(8月9日~8月15日)の発生見込み数の表

推定

沖縄県内では、感染拡大が続いています。一部地域で外来や検査の応需体制が限界となっており、とくに接触者スクリーニングが従来のように行えていません。軽症者のPCR検査は数日待ちとなっています。実効再生産数が1.52と低下してきたように見えますが、実態を反映しきれていないと考えられます。

急速な感染拡大が始まってから(7月27日に過去最多の354人)2週間が経過しました。これまで、流行を抑え込むだけの施策はとられていませんが、社会的な緊張感による抑止効果が現れる時期となります。よって、今週の新規陽性者数は、3,500-5,000人になるものと推定します。

入院患者数については、今週末までに800-900人へと増加します。ただし、病床確保が限界を迎えるため、実際には、200人程度が自宅や施設での療養を余儀なくされます。中等症以上の患者についても、これまでは、おおむね入院で対応することが可能でしたが、今週より困難となってきています。気管挿管等が行われる重症患者数も増加が続き、今週末には25-35人に至ると推定します(図7)。

「沖縄県疫学統計・解析委員会資料」

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 保健医療介護部 感染症対策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟4階(南側)
電話:098-866-2013 ファクス:098-869-7100
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。