第13回沖縄平和賞受賞者(2026年)Mae Tao Clinic(メータオ・クリニック)
代表者:Director Dr. Cynthia Maung(院長 シンシア・マウン医師)
所在地:702, Moo 1, Tha Sai Luad, Mae Sot, Tak, 63110, Thailand
贈賞理由
沖縄平和賞委員会は、Mae Tao Clinic(メータオ・クリニック)を第13回沖縄平和賞受賞者に決定しました。国外団体への授賞は、沖縄平和賞初となります。戦争や紛争の増加、不平等の拡大に伴い、世界的な分断が深まる中、「人間の安全保障」の重要性はますます高まっています。同団体の活動は、沖縄平和賞の理念である「人間の安全保障実現の促進」に資するものとして、高く評価されました。
同クリニックは、ミャンマーとの国境に位置するタイ北西部のターク県メソト郡において、ミャンマーからの避難民等に必要不可欠な保健医療サービスと支援を提供しています。
その活動は、1989年、ビルマにおける紛争や抑圧から逃れた人々を治療するため、自らも同国からの避難民である院長のCynthia Maung(シンシア・マウン)医師らが簡易診療所を開設したことから始まりました。同クリニックの診療範囲は徐々に拡大し、現在は、内科、外科、小児科、産婦人科、歯科、眼科、精神保健サービスやリハビリテーション、救急医療等にまで対象を広げています。35年以上の活動において、7万件以上のマラリア治療と5万件以上の出産受入を含む250万件を超える診療を行っており、2024年実績は、診療件数126,847件、入院件数8,735件、患者数50,699人となっています。
同クリニックの活動は、保健医療サービスの提供にとどまらず、子どもの保護や教育支援、保健医療人材の育成、安全・安心な暮らしの提供、出生登録の支援など多岐にわたり、タイとの国境地帯のミャンマーで生活する人々への支援も行っています。患者の医療記録の管理など医療体制構築にまで及ぶその活動は、持続可能な地域づくりにも寄与するものです。
このような包括的な支援は、タイとミャンマーとの国境地帯に生活し、脆弱な立場にあるミャンマー人の居場所づくり・地域づくりにまで波及する唯一無二のものとして、これらの地域に生活するミャンマー人の生きる力を支えています。メータオ・クリニックの活動は、人間の安全保障の実現そのものです。
沖縄においても、第二次世界大戦中の沖縄戦渦で、そして、戦争の傷跡が大きく残る終戦後にあっても貧困等のため、人間の安全保障が脅かされた歴史があり、現在も平和の構築と維持という課題に直面し続けています。そのような背景を持つ沖縄にとって、同クリニックが設立以来一貫して行っているミャンマーの人々に対する草の根の支援活動は、深く共感できるものであり、賞賛に値するものです。
その取組は、院長であるシンシア・マウン医師が、アジアの権威ある賞であるマグサイサイ賞をはじめとする数々の受賞歴を持つことからも証されるように、世界中で高い評価を得ています。そして、同クリニックが、その活動を通して女性のエンパワーメントにも貢献してきた点も評価に値するものです。
沖縄平和賞委員会は、メータオ・クリニックのこれまでの活動に深い敬意を表するとともに、同団体が活動を継続することにより国際平和の創造と広がりに引き続き寄与することを切に願います。
沖縄平和賞選考委員会
- 委員長 山極 壽一(総合地球環境学研究所 所長)
- 副委員長 仲地 清(名桜大学 名誉教授)
- 喜納 育江(琉球大学 学長)
- 嘉納 英明(名桜大学 学長)
- 管 康弘(元NHK理事)
- 長 有紀枝(難民を助ける会(AAR)会長)
- ハジアリッチ 秀子(国連開発計画(UNDP)駐日代表)
- 君島 東彦(立命館大学国際平和ミュージアム 館長)
- 清水 奈名子(宇都宮大学国際学部 教授)
※肩書は選考当時
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