議会提案説明(令和2年第1回沖縄県議会定例会)(Ⅱ令和2年度の施策の概要Ⅲ提出議案)

ページ番号1001639  更新日 2024年1月11日

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Ⅱ令和2年度の施策の概要について

次に、令和2年度における施策の概要について、御説明申し上げます。
第1は、「経済分野」に関して―新時代沖縄の到来の視点―であります。
「自立経済発展資源の創出」について申し上げます。
持続的な県経済の成長・発展に向け、アジアの活力を取り込み、インフラの整備や海外におけるビジネス・ネットワークの連携強化、貿易、観光などアジアとの経済交流に向けた取組を効果的、効率的に進めてまいります。
先端IT技術を各産業へ導入し、産業の高度化や生産性の向上等に取り組むとともに、企業の海外展開を牽引するグローバル人材、新たな産業の創出を牽引する起業家人材及び県内産業の新たな成長に資する人材の育成等を推進します。

「社会資本・産業基盤の整備」について申し上げます。
那覇空港第二滑走路の供用開始により、航空需要の増大が見込まれることから、空港の利便性向上に取り組むとともに、県内経済界等とも連携し、同空港に求められる将来の姿を描き、一層の機能強化及び拡充に取り組んでまいります。
那覇港については、昨年5月に開業した総合物流センターにおいて、集貨・創貨の促進を図るとともに、臨港道路の整備を推進します。
中城湾港については、航路の拡充や産業支援港湾としての機能を高め、クルーズ船の受入れについても、物流機能との共存を図り、持続可能な受入体制の構築に取り組みます。
本部港については、物流、人流機能の向上を図るとともに、大型クルーズ船の寄港に対応する岸壁等の整備を推進します。
幹線道路網については、那覇空港自動車道及び沖縄西海岸道路の整備を引き続き促進するとともに、南部東道路、浦添西原線等の整備を推進し、本島の南北軸と東西軸を結ぶ「ハシゴ道路ネットワーク」の早期構築に取り組みます。
また、沖縄都市モノレールの輸送力増強に向け、3両編成化に取り組みます。

「沖縄らしい観光リゾート地の形成」について申し上げます。
沖縄観光ブランド「Be.Okinawa(ビー・オキナワ)」の更なる浸透を図るとともに、沖縄の豊かな自然や独自の歴史・文化、うちなーんちゅのチムグクルなどのソフトパワーを活用した世界水準の観光リゾート地の形成に取り組み、令和3年度までに観光収入1兆1,000億円、入域観光客数1,200万人等の達成を目指します。
また、持続可能な発展と観光振興のバランスに配慮しつつ、SDGsの理念に即した沖縄観光の質の向上に取り組むとともに、地元収益の創出・拡大による観光関連産業の所得向上を目指します。
観光客の著しい増加によって県民生活や自然環境に影響を及ぼす、いわゆる「オーバーツーリズム」については、市町村や観光協会等と連携を図り、諸問題の改善に向けた検討を進めてまいります。
人材育成と受入体制の強化を図るため、観光・環境協力税(仮称)の導入及び「観光基金」の設置に向けた検討を進めます。
海路客の誘致については、フライアンドクルーズの促進、南西諸島周遊クルーズ及びクルーズ展示会の誘致などを柱とした「東洋のカリブ構想」を強力に推進してまいります。
空路客の誘致については、国内有数の国内航空路線網と拡大する国際航空路線網を活かし、経由便を活用した欧・米・豪からのトランジット客の誘致を強化するとともに、国内はもとより、台湾、香港等アジアの観光地と連携し、沖縄をアジア、日本を周遊する中継地の一つとする「国際旅客ハブ」の形成を図ります。
外国人観光客の受入については、観光関連従業者の対応力の強化や医療体制の充実など、環境の整備を推進します。
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」については、適切な観光利用を図るとともに、世界遺産所在自治体の首長等が参加する「第7回世界遺産サミット」を開催し、世界遺産の保全や活用の取組を共有します。
自然環境の活用については、農林水産業と連携したグリーン・ツーリズムなどの体験交流型観光を推進します。
また、このような取組を令和2年10月に県内で開催されるツーリズム・エキスポジャパンを通して世界に発信し、更なる知名度向上を図ります。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、県出身選手の育成や聖火リレーの取組のほか、事前キャンプの誘致など、スポーツコンベンションを推進するとともに、Jリーグ規格スタジアムの整備やプロスポーツとの連携を図るなど、スポーツツーリズムの推進に取り組みます。また、本県で開催される「令和2年度国民体育大会第40回九州ブロック大会」の円滑な競技運営に取り組みます。

「産業の振興と雇用の創出・安定」について申し上げます。
リゾートとテクノロジーを掛け合わせたResorTech(リゾテック)をコンセプトとした国際IT見本市の開催、その実証事業の活性化等により、県内情報産業の高度化を図るとともに、更なる企業集積のためアジアITビジネスセンターを整備するなど、アジア有数の国際情報通信拠点の形成を目指します。
また、沖縄と首都圏・アジアを直結する国際情報通信ネットワークなどのインフラを活用したビジネスの展開を支援してまいります。
再生医療等の研究を通じて先端医療技術の研究基盤を強化するとともに、産学共同による研究開発等を支援し、国際的な先端医療拠点の形成に向けて取り組みます。
また、沖縄の多様な生物資源や地理的優位性等を活かした医薬品、医療機器、機能性食品等の研究開発及び事業化を推進します。
沖縄物産フェアの拡充や県内企業の販路開拓の支援等により、県産品の県外、アジア市場への販路拡大、販売促進を図るとともに、東京オリンピック・パラリンピックの機会をとらえ、県産品等の魅力を発信してまいります。
更に、海外事務所等のネットワークを活用し、観光誘客、県内企業の海外展開、投資促進等、戦略的に施策を展開してまいります。
民間企業との連携などにより、沖縄からアジアへ展開するビジネスモデルを創出し、商流・物流機能の拡充を図ることで、全国の特産品や半導体等高付加価値製品を迅速にアジアへ届ける流通プラットフォームの構築を推進します。また、国内最大級の個別マッチング型国際商談会「沖縄大交易会」を民間と共同で開催します。
また、賃貸工場の整備や国際航空物流の拡充等を進め、アジアをつなぐ国際競争力ある物流拠点としての機能を強化し、臨空・臨港型産業の集積を促進してまいります。
企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域や情報通信産業振興地域、経済金融活性化特別地区等の特区や各種税制優遇措置などを活用し、半導体や電子部品製品関連などの高付加価値製品を製造する分野、航空関連産業分野及び医療機器製造関連産業をはじめとする先端医療・健康・バイオ分野を中心とした産業の集積を図ります。
沖縄振興特別措置法及び復帰特別措置法に基づく各種税制措置の延長及び拡充に向けて、経済界と連携して取り組んでまいります。
県内ものづくり産業の振興については、付加価値の高い製品開発、基盤技術の高度化及び生産性の向上や県内発注の促進に取り組むとともに、先端技術導入を図るため、国等の研究機関との連携や技術交流を推進してまいります。
泡盛製造業については、リーディング企業の育成や経営が厳しい酒造所に対する改善支援など、経営状況に応じた総合的な支援策を展開するとともに、国との連携による海外輸出を促進します。
伝統工芸産業については、後継者育成や原材料の安定確保、市場ニーズに対応した製品開発等に取り組むとともに、「おきなわ工芸の杜(もり)」の令和3年度供用開始を目指し、整備を進めてまいります。
中小企業・小規模事業者の支援については、沖縄県中小企業の振興に関する条例の一部を改正し、情報通信技術の活用による生産性の向上、経営基盤の強化、事業承継や資金調達の円滑化などを総合的に推進します。
また、近年新たな役割を求められている商工会・商工会議所等の支援体制強化に取り組むとともに、市町村と連携した商店街への支援等を実施し、県内商業の活性化を図ります。
エネルギーについては、SDGsの理念に基づき、効率かつ環境負荷の低いクリーンエネルギーを推進するため、沖縄の地域特性を活かした再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、島しょ型エネルギー技術開発や、関連企業の海外展開を促進します。
雇用の安定については、若年者等の就業意識の向上や求人と求職のミスマッチの解消を図るため、インターンシップやジョブトレーニングなどを実施し、職場定着の推進に引き続き取り組んでまいります。
雇用の質の改善については、優れた人材育成の取組を行っている企業の認証制度の活用促進や、ワーク・ライフ・バランスの推進、正規雇用の拡大、働きやすい環境づくりなどに取り組む企業に対し、各種支援施策を展開するとともに、産業横断的なマーケティング力を強化するなど、「企業の稼ぐ力」に資する取組を推進し、県民所得の向上、ひいては子どもの貧困の解消につながるよう取り組んでまいります。
また、人手不足については、処遇の改善など労働環境の整備をはじめ、県外からのUJIターンの促進による人材の確保に取り組むとともに、企業のIT活用や設備導入への支援を強化し、外国人材の活用などについても、全庁的に各業界の取組を促進してまいります。

「農林水産業の振興」について申し上げます。
農林水産業の振興に向けて、戦略品目による拠点産地の形成、おきなわブランドの創出を目指した研究開発、担い手の育成・確保、生産基盤の整備、6次産業化、国内外への販路開拓などに積極的に取り組みます。
基幹作物であるさとうきびについては、引き続き、安定生産に向け取り組むとともに、製糖工場の安定操業に向けた老朽化対策の支援などに取り組んでまいります。
また、島しょ県の流通条件の不利性による負担を軽減するため、引き続き輸送コスト低減対策を推進するとともに、中央卸売市場の機能強化を図ります。
農地利用については、農地中間管理機構等を通じて、新規就農者や法人経営体などの担い手の農地利用拡大に取り組んでまいります。
畜産業については、経営基盤の強化、飼料コスト低減対策及び牛乳の安定供給に向けた生産供給体制の強化、特定家畜伝染病侵入防止対策の強化に取り組みます。
特に、県内で発生した豚熱(CSF)については、飼養衛生管理基準の更なる徹底や予防的ワクチンの接種など豚熱(CSF)の感染拡大防止対策の強化に取り組んでまいります。また、豚熱(CSF)発生農家や制限区域内生産農家への手当や助成等の経営支援に取り組みます。
林業については、環境保全に配慮した森林施業を実施し、県産木材の安定供給や特用林産物の生産拡大を図ります。
水産業については、漁業就業者の確保及び育成に向け、新規漁業就業者を対象とした漁具等の漁業経費の支援などに取り組みます。また、糸満漁港への高度衛生管理型荷さばき施設の整備に加え、流通機能強化に向けた加工施設等の一体的整備を推進してまいります。
漁船が自由かつ安全に操業できる漁場の確保に向けて、ホテル・ホテル訓練区域における使用制限の解除対象水域の拡大及び対象漁業の拡充や、日台漁業取決め及び日中漁業協定等の見直しを求めるとともに、日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化など、水産業の振興に取り組んでまいります。
尖閣諸島を巡る情勢につきましては、中国公船が領海侵入を繰り返しており、宮古、八重山地域の住民に不安を与えております。県民の平穏な生活環境及び県内漁業者の安全確保に向けて、国に要請するとともに、国の関係機関との連携を強化しているところです。
また、パラオ共和国の排他的経済水域(EEZ)における本県まぐろはえ縄漁船の安定的な操業継続に向けて、パラオ共和国との水産技術交流等に関するMOU締結を進め、友好関係の強化に取り組みます。
国際貿易交渉については、TPP11(イレブン)協定、日EU・
EPA、日米貿易協定等の貿易自由化への対応として、TPP等対策予算を措置し、農林水産業の体質強化対策や経営安定対策に取り組みます。

第2は、「平和分野」に関して―誇りある豊かさの視点―であります。
まず、「国際交流・協力の推進」について申し上げます。
10月30日の「世界のウチナーンチュの日」を中心に、県内外や世界各地で様々な活動が展開されるようウチナーネットワークの継承及び発展に向けた取組を推進するとともに、「第7回世界のウチナーンチュ大会」の令和3年開催に向け取り組んでまいります。
また、JICA沖縄と連携して、県内の高校生を開発途上国に派遣するとともに、県内の中学・高校で国際協力出前講座を実施し、将来の国際協力を担う人材を育成します。

「基地問題の解決と駐留軍用地の跡地利用」について申し上げます。
米軍人・軍属等による事件・事故や日常的に発生する航空機騒音をはじめPFOS等の環境問題のほか、実弾射撃演習による原野火災など米軍基地に起因する相次ぐ事件・事故は、県民生活に様々な影響を与えております。
このような米軍基地から派生する諸問題を解決するため、日米地位協定の抜本的な見直しや、環境補足協定に係る環境事故の通報基準の見直し等を国に求めてまいります。
県としては、引き続きオスプレイの配備撤回を求めるほか、米軍機による事故等が発生した際、地元への通報が遅れる事案が度々発生していることから、連絡通報体制の検証、改善を求めるとともに、政府の対応に県の考えを反映させるため、政府、米軍及び沖縄県を構成員とする新たな協議会の設置などを国に求め、県民の懸念や不安の払拭を図ってまいります。
辺野古新基地建設問題については、これまでに小金井市議会や小平市議会等の地方議会で、国民的議論で問題解決を求める意見書等が採択されており、全国において沖縄の基地問題について議論が深まりつつあると考えております。今後も、法令に基づく権限を適切に行使するほか、全国でのトークキャラバンによる情報発信を行うことなどにより、県民投票結果をはじめとする辺野古新基地建設に反対する県民世論及びそれを踏まえた私の考えを広く国内外に伝え、国民的議論を喚起し、理解と協力を促してまいります。
県は、政府が普天間飛行場の危険性を放置することのないよう、同飛行場の速やかな運用停止を含む危険性の除去を強く求めてまいります。
また、沖縄の基地問題の解決に向け、米国側の理解と協力を求めることが重要であると考えており、沖縄の米軍基地をめぐる諸問題について、私が直接訪米し、米国政府、米国連邦議会議員等に対し、地元の実情を伝えるとともに、米国ワシントンD.C.に設置した駐在員を活用し、米国内での情報収集及び情報発信、国連との連携や有識者と連携した会議の開催及び連邦議会関係者への働きかけや沖縄への招へいに取り組んでまいります。
米軍基地の整理縮小については、SACO合意の内容とは異なる現在の辺野古新基地建設を除き、既に日米両政府で合意されたSACO最終報告及び再編に基づく統合計画で示された基地の整理縮小の確実な実施のほか、SACO以降の基地の整理縮小の検証及び沖縄の基地負担軽減策の検討のため、日米両政府に沖縄県を加えた3者で協議(SACWO)を行うことを、日米両政府に対し求めてまいります。
また、米軍基地問題に関する万国津梁会議での議論を踏まえ、県の政策や取組に反映し、米軍基地の整理縮小につなげていきたいと考えております。
普天間飛行場をはじめとした返還予定地については、関係市町村等と連携を図り、跡地利用計画の策定を促進します。
戦後処理問題については、不発弾処理の早期解決に取り組むとともに、沖縄戦における戦没者の遺骨収集の加速化を図ります。
所有者不明土地問題について、抜本的解決に向けた取組の加速化とともに、県民の貴重な財産として有効活用が図られるよう、国に求めてまいります。

「沖縄から世界へ、平和の発信」について申し上げます。
戦後75年の節目となる今年は、第10回沖縄平和賞の贈賞を実施するとともに、シンポジウムの開催等により、平和を希求する「沖縄のこころ」を世界に力強く発信します。
今年度に創設した「ちゅらうちなー草の根平和貢献賞」受賞者の活動内容の広報、平和の礎や平和祈念資料館を通じて、沖縄戦の歴史的教訓の次世代への継承に注力するとともに、新たに沖縄戦を語り継ぐ活動を行う団体・個人を表彰するなど、恒久平和の実現に向けて、取り組んでまいります。

第3は「生活分野」に関して―沖縄らしい優しい社会の構築の視点―であります。
「地域力の向上・くらしの向上」について申し上げます。
地域の課題解決に向けて、ボランティア、NPO活動などへ県民が主体的に参加できる仕組みづくりや、県民や地域組織、企業等の多様な主体が連携した取組を促進してまいります。
民生委員・児童委員の活動環境の改善と充足率向上を図るとともに、適切な福祉サービスが利用できる体制の構築を推進します。

「世界に誇る沖縄の自然環境を守る」について申し上げます。
SDGsの理念に基づき、自然環境の保全の啓発に努めます。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産の確実な登録に向け、国等と連携を更に強化し、新たに制定した「沖縄県希少野生動植物保護条例」に基づく希少種の保護や外来種対策など、自然環境の保全に取り組みます。
沖縄県自然環境再生指針を踏まえた再生事業の市町村への普及・支援や、白化対策、オニヒトデ対策などのサンゴ礁保全に取り組み、自然環境の保全・再生・適正利用を図ります。
生物多様性の保全上重要な情報収集・調査研究・教育普及の拠点となる「国立自然史博物館」の誘致については、官民一体となった取組を進めてまいります。
絶滅が危惧されるジュゴンの生息状況等の調査を継続し、保護施策の在り方の検討など、希少生物の保全に向けた取組を推進するとともに、犬猫殺処分ゼロから廃止に向け、譲渡の拠点施設を整備し、命が尊重される動物愛護の取組を進めてまいります。
昨年に開催した「第43回全国育樹祭」を契機とし、県民一体となった緑化活動をより一層推進するとともに、亜熱帯の特性を活かした沖縄らしい花と緑の景観形成等を目指し、全島緑化を推進します。
令和元年度に完成した公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場における適正処理を推進します。
県内の海岸漂着物の回収処理を推進するとともに、国際的な課題である海洋プラスチック等の抑制に向けた陸域の発生源対策等に取り組みます。
赤土等流出防止対策については、「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画」に基づき、農地等の各種発生源対策の強化など総合的な取組を推進します。

「歴史と誇りある伝統文化の継承と発展」について申し上げます。
首里城の復旧・復興については、有識者による議論や県民の声を踏まえて県の基本方針等を今年度内に策定し、1日も早い首里城の復元と首里城に象徴される琉球の歴史・文化の復興に向けて取り組みます。
各地域において大切に受け継がれてきた沖縄(ウチナー)文化の根底をなすチムグクルを育むため、「しまくとぅば普及センター」を中核に市町村や教育関係機関等と連携したしまくとぅばの普及活動及び人材育成、アーカイブの活用等を推進するとともに、組踊や琉球舞踊、沖縄芝居など多様で豊かな伝統文化の継承、発展を図るため、後継者育成や基盤強化に取り組みます。
沖縄が世界に誇る伝統文化である空手を保存・継承・発展させるため、指導者・後継者の育成を図り、沖縄空手会館を拠点に「空手発祥の地・沖縄」をSNS等の活用により国内外に強力に発信するとともに、受入体制を強化し、交流人口の拡大を図ります。あわせて、ユネスコ無形文化遺産の登録に向けた県民機運の醸成や、沖縄空手国際大会の定期開催等の取組を通じ、沖縄空手振興ビジョンで示す将来像の実現に向けて取り組んでまいります。
令和4年度に沖縄県での開催が内定している第37回国民文化祭については、本県の多様な文化芸術を県内外に発信し、文化振興や観光振興につなげていけるよう準備を進めてまいります。

「医療の充実・健康福祉社会の実現」について申し上げます。
2040年までに平均寿命日本一を取り戻すため、働き盛り世代の健康に対する意識の変革を促すとともに、事業所における健康づくりの支援を行うなど、引き続き、健康長寿復活プロジェクトを推進します。
新型コロナウイルス感染症等、海外で発生する感染症について、国及び医療機関等と連携し医療提供体制の整備に取り組みます。
昨年制定した「沖縄県歯科口腔(くう)保健の推進に関する条例」に基づき、「沖縄県歯科口腔(くう)保健推進計画」を策定し、歯科口腔(くう)保健対策の強化に取り組みます。
こども医療費助成制度については、私の任期中に通院の対象年齢の拡大を実現することができるよう、引き続き市町村との協議を進めてまいります。
地域医療の強化を図るため、北部、離島地域の医師不足及び県内全域における医師の診療科偏在の解消などに取り組んでまいります。
薬剤師確保については、薬剤師の需給予測及び県内国公立薬学部設置の可能性等について調査してまいります。
西普天間住宅地区跡地において、国際性・離島の特性を踏まえた沖縄健康医療拠点の形成を促進します。
障害のある人に対する誤解や偏見等をなくす取組を推進するとともに、手話の普及啓発、発達障害に対する地域支援体制の整備など、障害者の地域生活支援に取り組みます。
生活困窮者への支援については、相談体制の充実及び地域における関係機関とのネットワークの強化に取り組んでまいります。
世代にかかわらず課題となっているひきこもりの問題については、市町村と連携しながら、効果的な調査や支援が行えるよう、その体制づくりに取り組んでまいります。

「子育て・高齢者施策の推進」について申し上げます。
子どもの貧困対策については、「沖縄県子どもの貧困対策推進基金」を活用した就学援助等の充実を図るほか、国、市町村と連携して、子どもの居場所や貧困対策支援員の活動支援を強化するとともに、県立高校内の居場所における生徒の就学継続に向けた支援や、小規模離島町村への支援員派遣などに取り組みます。
待機児童の計画的な解消や、多様なニーズに対応した子育て支援、保育サービスなどの充実を図るとともに、市町村と連携し、質の高い幼児教育・保育の提供に取り組んでまいります。
中央児童相談所及びコザ児童相談所に一時保護等の介入対応を行う「初期対応班(仮称)」を設置し、児童虐待防止対策の強化を図ります。
介護サービスの充実など、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを深化・推進するとともに、介護人材の確保対策や認知症施策の強化に取り組みます。また、入所待機者の解消に向け、特別養護老人ホーム等の施設整備の支援に取り組みます。

「安心・安全で快適な社会づくり」について申し上げます。
人に優しい交通手段の確保に向けて、昨年9月に基幹急行バス「でいごライナー」の運行を開始したところであり、引き続き、基幹バスシステムの構築を推進するとともに、バス運転手確保の取組を支援してまいります。
住環境の整備については、県営南風原第二団地、新川団地等の建替を推進するとともに、民間住宅の省エネ化やバリアフリー化を図るため、住宅リフォームを促進します。
高齢者等の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居支援の促進に向けて取り組みます。
我が国において、昨年は、記録的な豪雨や台風などの多くの自然災害に見舞われ、日頃からの防災・減災対策の重要性を、改めて、痛感する年となりました。
近年相次いだ大規模災害の教訓を踏まえ、県民の防災意識の向上と迅速な避難行動の確保を図り、「沖縄県地域防災計画」に定める対応を関係機関が的確に果たすため、国、市町村、民間事業者等と連携した防災訓練を充実・強化するとともに、消防防災ヘリコプターの導入を推進するほか、災害時要配慮者に対する福祉支援体制の充実を図ります。
災害に強い県土づくりに向け、無電柱化の推進、老朽化した道路施設や海岸堤防等の改修、民間住宅、ホテル、病院などの耐震診断及び改修等に対する支援に取り組みます。
安全な水道水を安定的に供給するため、水道施設の計画的な更新や耐震化を推進します。
下水道施設の整備拡張や計画的な更新や耐震化に取り組むとともに、市街地の浸水対策を促進します。
治水・浸水対策、土砂災害対策、高潮対策に取り組むとともに、治山対策による森林の維持・造成を推進し、潮風害の防止、山地災害復旧・予防及び生活環境の保全を図ります。
犯罪の起きにくい安全で安心な沖縄県を実現するため、地域ボランティア団体や関係機関等と連携し、県民に対する適正飲酒の働きかけを含むちゅらさん運動等を推進するとともに、通学路の安全対策を含む子どもや女性、高齢者等の安全確保、少年の非行防止・保護対策に取り組みます。
飲酒運転根絶に向けた県民意識の高揚など、交通ルールの遵守とマナーの向上を図り、交通の安全を確保するための取組を推進します。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関連行事の開催に備えたテロ等の未然防止対策や国境離島の警備強化に取り組んでまいります。
また、サイバー空間における脅威や暴力団を含む組織犯罪などの県民生活を脅かす様々な事象への的確な対処、犯罪被害者に対する支援活動の充実に向けた取組を推進します。
DV・ストーカーや性犯罪等の被害未然防止対策を強化するとともに、「沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センター」において、24時間365日体制で性犯罪・性暴力被害者を支援します。
また、女性や子どもたちを取り巻く国際的な諸問題の解決に向け、国籍が異なる男女間のトラブルやDV、虐待等の相談・支援体制の強化に取り組みます。
消費者被害の未然防止と早期救済を図るため、市町村相談体制の充実と消費者への啓発等に取り組むとともに、令和4年度の成年年齢引き下げに対応するため、若年者に対する消費者教育を強化します。

「離島力の向上」について申し上げます。
離島航路及び航空路の交通コストの低減、情報通信格差の是正、離島からの高校進学等の支援など、定住条件の整備に取り組みます。
離島診療所への医師派遣、専門医による巡回診療による医療提供体制の確保や離島患者の経済的負担の軽減に取り組みます。
離島におけるガソリン価格や水道料金等の生活コストの低減に取り組むとともに、離島航路に就航する船舶建造の支援などにより、交通基盤の整備を推進します。
情報通信については、離島及び過疎地域における陸上の光ファイバー網による超高速ブロードバンド環境の整備を促進するとともに、大東地区における情報通信基盤の高度化を図るため、北大東島への海底光ケーブルの整備を推進してまいります。
離島の主要産業であるさとうきびや畜産などの農林水産業の生産性向上や、担い手の育成・確保対策、製糖業の経営安定対策、地域の農林水産物を活用した6次産業化などを推進するとともに、黒糖の販路拡大などに取り組んでまいります。
肉用牛生産の活性化に向けて、新たな担い手などが畜産経営に取り組むための賃貸型畜舎の整備を推進します。
また、農業用水確保等の農業生産基盤の整備により、離島の農業経営の安定を図ります。
港湾・空港施設の更新整備・機能向上をはじめ、道路・公園などの離島地域の社会基盤整備を推進します。
離島の重要性や魅力に対する認識を深めるため、離島ならではの観光産業の振興や沖縄本島と離島との地域間交流の促進などにより、離島地域の活性化を図ってまいります。

「教育振興」について申し上げます。
学校教育については、教員の指導力及び学校組織力の向上、授業改善等により、小中学校の学力向上を図ります。
児童生徒との継続的な関わりによる生徒指導の充実を図るため、引き続き正規教員率の改善に取り組みます。
また、教職員が児童生徒と向き合うための時間を十分確保し、質の高い教育を行うことができるよう、学校における働き方改革に取り組んでまいります。
小学校から高等学校までの12年間の学びをつなぎ、自己実現と社会参画を図るキャリア教育の充実に努めてまいります。
共生社会の形成を目指した沖縄らしいインクルーシブ教育システムの構築に向けて、更に研究・検討を進めてまいります。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置等により、いじめ、深夜はいかい等の未然防止などの早期発見及び対応、不登校への早期対応に取り組みます。
また、学校における教育活動全体を通して、薬物乱用防止に取り組むとともに、関係機関、家庭、地域社会との連携を密にし、薬物乱用防止教育の強化に努めてまいります。
欧米やアジア諸国等、海外への短期研修及び海外留学に高校生を派遣するなど、グローバル人材の育成に引き続き取り組みます。
那覇市内への新たな特別支援学校の設置については、引き続き開校に向けて取り組み、障害のある児童生徒の教育の充実を図ります。
水産高校の大型漁業実習船の代船建造については、令和3年の就航に向けて取り組みます。
特色ある教育を実践し、個性豊かな人材育成に貢献している私立学校を支援し、私学教育の充実、多様な人材の育成に取り組みます。
就学援助については、必要とする児童生徒に支援が届くよう、引き続き、制度に関する周知広報に努めてまいります。
また、家庭の経済環境に関わらず、子どもたちが安心して学業に励むことができるよう、住民税所得割非課税世帯及び一定の所得以下のひとり親家庭の高校生のバス通学費無料化に取り組みます。
給付型奨学金の実施など、大学等への進学を支援して進学率の向上を図ります。
大学や専門学校等に進学の意欲がある所得が低い世帯の学生に対し、国と連携して、支援に取り組んでまいります。
また、子どもの健やかな成長を学校・家庭・地域みんなで一緒に育む「やーなれー」運動を推進し、家庭教育支援の充実に取り組むとともに、幅広い地域住民等の参画による学習補助や学校支援、子どもたちの放課後の安全・安心な居場所づくりに取り組みます。
新県立図書館が、誰もが気軽に利用でき、県民に親しまれる「知の拠点」として成長・発展できるよう取り組むとともに、離島等図書館未設置町村における移動図書館の実施等により読書環境の充実を図ります。
玉城青少年の家については、新たな施設として、令和4年度の全面開所に向け取り組みます。

Ⅲ提出議案について

次に、甲第1号議案から甲第35号議案までの予算議案について御説明申し上げます。
令和2年度は、「重点テーマ」を踏まえ、沖縄の持つ優位性と潜在力を活かす施策を戦略的に展開するとともに、持続可能な沖縄の発展の実現に向け、「沖縄県PDCA」等の反映及び「沖縄県行政運営プログラム」の推進により、一つひとつの施策・事業の効率性と実効性の向上に取り組む方針の下、必要な予算を計上いたしました。
その結果、令和2年度当初予算は、

  • 一般会計において、7,514億400万円
  • 特別会計において、2,393億7,539万円
  • 企業会計において、1,407億4,097万円

の規模となっております。
また、令和元年度補正予算につきましては、国の補正予算などへの対応や事業の執行状況に応じた所要の補正を行うこととしており、一般会計において59億3,499万1千円を計上しているほか、9の特別会計及び病院事業会計において所要の補正予算を計上しております。これらの補正予算につきましては、先議案件として御審議を賜りますようお願い申し上げます。
次に、乙第1号議案から乙第44号議案までの乙号議案につきましては、条例議案が「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」など33件、議決議案が「工事請負契約についての議決内容の一部変更について」など9件、同意議案として「沖縄県教育委員会教育長の任命について」の1件、承認議案として「専決処分の承認について」の1件を提案しております。
このうち、乙第1号議案「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」など8件につきましては、先議案件として御審議を賜りますようお願い申し上げます。
慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、今回提案いたしました議案の説明といたします。
ユタサルグトゥ、ウニゲーサビラ。イッペーニフェーデービル。
タンディガー、タンディ。
シカイトゥ、ミーファイユー。
フガラッサー。

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