植生沈砂池の試験施工

ページ番号1011483  更新日 2024年1月11日

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植生沈砂池の試験施工について

1 植生沈砂池の試験的施工までの経緯

植生沈砂池工法は、緊急的な赤土流出防止対策が求められている轟川流域における土木的対策の検討作業の中で
選定されたものです。この工法選定までの概要は以下のとおりです。

対策工法の選定

対策工法の選定にあたっては、赤土の流出抑制のメカニズムに着目し、

  1. 物理的対策(沈砂池の設置等)
  2. 化学的対策(凝集剤の添加等)
  3. 機械的対策(濾過装置等の設置)

に区分して検討しました。このうち2.及び3.については、以下の理由により実施が困難であるという判断にいたりました。
ア 化学的対策は団粒化促進のための工程において、また3.機械的対策は流水の濾過過程の建設におけるコスト
面で不利であること。また、強制的な赤土沈降を図るために薬液・濾過材、電力等が必要となることから維持
管理経費が多大となる。
イ 処理のためのプラントに専門的な管理体制が必要であることから地元での対応が困難である。
ウ 処理方法によっては捕捉した赤土の農地還元が不可能で産業廃棄物として処理することが必要である。
上記をふまえ、具体的な対策工法を物理的対策の滞留池工法及び植生沈砂池に絞って検討し、次の理由により
植生沈砂池工法を新たな赤土対策工法として検討することとなりました。

対策工法:滞留池方式

工法概要
洪水を全て貯留する大型のため池(滞留池)を下流に造成し、赤土を沈降させた後に海域に排水する。
不採用の判断
次の点から事業化は困難であると判断
  • 優良農地を含む62.3haの潰れ地が発生する。
  • 洪水時の流水制御に高度な判断・技術力と多大な労力が必要で あり維持管理上大きな課題がある。
  • 事業費が過大である。

対策工法:植生沈砂池方式

工法概要
植生帯を自然フィルターとして活用した大型の沈砂池を支流に設置する。
採用の判断
次の点から新たな赤土対策工法として検討する価値があると判断。
  • 従来の沈砂池より沈降対象粒径を1/10に拡大したこと。
  • 植生帯にある程度の赤土捕捉効果が期待できること。
  • 滞留池と比較して経済的な工法であること。
課題等
  • 施設用地確保の可能性
  • 植生帯設置による赤土流出抑制効果
  • 植生帯の管理及び堆積土砂の浚渫方法・費用

2 植生沈砂池の考え方について

赤土流出防止対策については発生源対策が最も重要ですが、一方で、発生した赤土を河川・海域等の公共水域流出するのを抑制する対策も重要です。植生沈砂池は、轟川における緊急土木対策の検討の一環として検討を行っているものです。
一般的に自然の沢においては水が滞留・蛇行しつつゆっくり流下し、その過程で土砂の粒子が沈降します。
植生沈砂池はこのような自然のもつ機能に着目したものです。
轟川流域における具体的な手法としては、流域をいくつかの小流域に区分し、これらの各小流域に植生沈砂池を設置することを想定しています。
これにより、各流域の流水の速度を低下させるとともに、流域全体として流水の集中を緩和することによる二次的な被害(排水路からの水の溢水、氾濫等)の抑制も想定しています。
このため、従来型の沈砂池とは異なり、規模は大きくなるものの、より自然環境に近い状態をイメージし本体部分は原則として素堀構造とする等可能な限り自然素材を利用し、堤高もあまり高くせず周辺の景観に馴染むよう配慮することとしています。

写真:植生沈砂池(試験施工)
植生沈砂池:水質保全対策事業(耕土流出防止型)盛山地区内

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