ラムサール条約登録湿地

ページ番号1004726  更新日 2024年1月11日

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ラムサール条約 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約

1.ラムサール条約とは

ラムサール条約の正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。1971年、イランのカスピ海に面する町、ラムサールで開催された国際会議で採択されたため、「ラムサール条約」と呼ばれるようになりました。生物多様性保全に関する地球規模の条約としては、最も早期に採択されたもので、先駆的存在となっています。日本は1980年にラムサール条約に加入しました。
ラムサール条約では、沼沢地、湿原、泥炭地または陸水域、および水深が6メートルを超えない海域などを、湿地と定義しています。その中には、水田、ため池、水路、ダム湖、汽水湖、河川、遊水池、塩性湿地、湧水地、地下水系、カルスト台地、ツンドラ、マングローブ林、干潟、藻場、サンゴ礁などが含まれます。

2.国際的に重要な湿地を指定するための基準

基準1

特定の生物地理区を代表するタイプや固有のタイプの湿地、または希少なタイプの湿地

基準2
絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地
基準3
生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている湿地
基準4

動植物のライフサイクルの重要な段階を支えている湿地。または悪条件の期間中に動植物の避難場所となる湿地

基準5
定期的に2万羽以上の水鳥を支える湿地
基準6
水鳥の1種または1亜種の個体群で、個体数の1%以上を定期的に支えている湿地
基準7
固有な魚類の亜種、種、科の相当な役割を支えている湿地。また湿地というものの価値を代表するような、魚類の生活史の諸段階や、種間相互作用、個体群を支え、それによって世界の生物多様性に貢献するような湿地
基準8
魚類の食物源、産卵場、稚魚の成育場として重要な湿地。あるいは湿地内外における漁業資源の重要な回避経路となっている湿地
基準9
魚類以外の湿地に依存する動物の種または亜種の個体群で、個体群の1%以上を定期的に支えている湿地

3.日本での登録条件とは

日本は、次の条件1.~3.を満たしている湿地を登録しています。

  1. 国際的に重要な湿地であること(上記基準1~9のいずれかに該当すること)
  2. 国の法律(自然公園法、鳥獣保護法、種の保存法など)により、将来にわたって、自然環境の保全が図られること。
  3. 地元住民などの登録への賛意が得られること

4.ラムサール条約の3つの柱とは

条約の目的である、湿地の「保全・再生」と「ワイズユース(賢明な利用)」、そしてこれらを支え、促進する「交流・学習」これが条約の基盤となる3つの考え方です。

1.保全・再生

水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活環境を支える重要な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を呼びかけています。

2.賢明な利用

ラムサール条約では、産業や地域の人々の生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(Wise Use ワイズユース)」を提唱しています。賢明な利用とは、湿地の生態系を維持しつつ、そこから得られる恵みを持続的に活用することです。

3.交流・学習

ラムサール条約では、湿地の保全や賢明な利用のために、人々の交流や情報の交換、教育、普及啓発活動を進めることを決議しています。

5.登録されることによる地元のメリット

「国際的に重要な湿地」と認められ、国の内外から注目されます。例えば、国際会議などの開催により注目を集めたり、学校教育や地域の生涯学習、あるいはレクリエーションや観光の対象として活用されます。また、地域の水産物、農産物に、ラムサール条約湿地の自然環境に支えられた特産品として、「ラムサール・ブランド」という付加価値が付くことも期待されます。

6.ラムサール条約湿地となることで新たな規制がかかるのか

ラムサール条約は各締約国に、それぞれの国内法によって条約湿地を保全し、管理することを求めています。日本では、ラムサール条約に登録される湿地は、あらかじめ、国指定鳥獣保護区の特別保護地区、あるいは国立公園または国定公園に指定されて、保全、管理されていますので、ラムサール条約湿地となることで、新たな規制は発生しません。国内法に基づく、ラムサール条約湿地の一層の保全や賢明な利用の推進が期待されます。

漫湖

湿地の概要

沖縄本島の南部に位置。那覇市と豊見城市の市街地の中を流れる国場川と饒波川の合流点に広がる河口湖であり、干潮時に大規模な干潟が出現する。シギ・チドリ類、カモ類、クロツラヘラサギなど水鳥など渡り鳥の中継地として重要な渡来地。

所在地
那覇市・豊見城市
登録年月日
平成11年5月15日
面積
58ha
湿地のタイプ
河口干潟、クロツラヘラサギ渡来地
保護の形態
国指定漫湖鳥獣保護区漫湖特別保護地区

慶良間諸島海域

湿地の概要

日本で確認される造礁サンゴの62%の種数が生息する代表的なサンゴ礁域。海域の海中には、テーブル状、枝状、角状、塊状、被覆状等の造礁サンゴが高い密度で分布している。スズメダイ類、チョウチョウウオ類、ベラ類等のサンゴ礁特有の魚類の幼生の生育の場となっており、夏にはアオウミガメ等が産卵のために数多く訪れている。平成27年5月28日付で登録区域を現在の面積に拡大した。

所在地
渡嘉敷村・座間味村
登録年月日
平成17年11月8日
面積
8,290ha
湿地のタイプ

サンゴ礁、タイマイ等のウミガメの産卵地

保護の形態
慶良間諸島国立公園海域公園地区

名蔵アンパル

湿地の概要

沖縄県石垣島西部に位置。名蔵川河口部の干潟及びマングローブ林を中心とした地域。亜熱帯地域における典型的かつ多様な自然環境がまとまって存在。シギ・チドリ類などの水鳥、八重山諸島特有の猛禽類、森林性鳥類等多様な鳥類の生息地となっている。また、底生動物、甲殻類等の多様性が高い。

所在地
石垣市
登録年月日
平成17年11月8日
面積
157ha
湿地のタイプ
マングローブ林、河口干潟
保護の形態
国指定名蔵アンパル鳥獣保護区名蔵アンパル特別保護地区

久米島の渓流・湿地

湿地の概要

沖縄本島の西方約100kmに位置している。久米島の宇江城岳を源流とする渓流及びその周辺の湿地、森林を中心とする地域である。日本で唯一の淡水生のヘビであるキクザトサワヘビをはじめとする希少野生生物の重要な生息地となっている。

所在地
久米島町
登録年月日
平成20年10月30日
面積
255ha
湿地のタイプ
渓流及びその周辺の湿地、森林、キクザトサワヘビの生息地
保護の形態
宇江城岳キクザトサワヘビ生息地保護区管理地区

与那覇湾

湿地の概要

南西諸島西部にある宮古島の南西部に位置し、島内最大の干潟である。底生生物、甲殻類等が豊富なため、渡り途中のシギ・チドリ類等多くの鳥類が、採餌や休息地として飛来する。

所在地
宮古島市
登録年月日
平成24年7月3日
面積
704ha
湿地のタイプ
干潟、シギ・チドリ類の渡来地
保護の形態
国指定与那覇湾鳥獣保護区与那覇湾特別保護地区

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