食品添加物一日摂取量調査

ページ番号1004017  更新日 2024年1月11日

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食品添加物一日摂取量調査は、日本人が一日にどの程度の量の食品添加物を摂取しているのかを把握する目的で1979年度から厚生省(現厚生労働省)で開始されました。この調査は厚生労働省の事業として、国立医薬品食品衛生研究所を中心とする複数の地方衛生研究所で行われており、沖縄県衛生環境研究所もその一員として参加しています。

調査方法

200~300種類の食品を小売店で購入し、全7~8群(表1)に分類し、それぞれの群ごとにミキサーで混合し、食品群別試料としました(マーケットバスケット方式)。その後、各食品群別試料ごとに含まれる添加物の量を測定し、それに一日喫食量を乗じて、群別一日摂取量を求め、その総和を一日摂取量としました。また、食品表示欄に調査対象とした添加物の記載がある食品については、混合用の他に個別分析用も購入して分析を行い、結果から一日摂取量を算出しました。(以下、それぞれの結果を、「食品群別用試料結果」、「個別試料結果」と表記します)
この調査は複数の研究機関で行っており、機関ごとに別々の食品添加物を担当しています。試料はそれぞれの機関が各々で購入、混合したものを互いに送り合い、結果については各機関から送られてきた試料に含まれる食品添加物の量の平均から算出しております。

表1.食品群別試料内訳

1群
調味嗜好飲料(調味料、ジュース、茶等)
2群
穀類(パン、麺、中華まん等)
3群
いも類・豆類・種実類(こんにゃく、とうふ等)
4群
魚介類・肉類・卵類(塩魚、ソーセージ等)
5群
油脂類・乳類(サラダ油、ラクトアイス等)
6群
砂糖類・菓子類(ジャム、まんじゅう等)
7群
果実類・野菜類・海藻類(フルーツ缶詰、漬物等)
8群
特定保健用食品(2006~2010年度のみ調査)

調査結果

沖縄県が担当した食品添加物の調査結果について主なものを示します。

1.グリチルリチン酸

グリチルリチン酸はカンゾウ(甘草)に含まれており、カンゾウ抽出物は様々な食品に使用されています。また、精製されたグリチルリチン酸の2ナトリウム塩は醤油、みそに使用が許可されています。
グリチルリチン酸の一日摂取量は表2のとおり、食品群別内訳は図1のとおりです。グリチルリチン酸にはADI(一日摂取許容量:毎日摂取しても身体に影響が出ないとされる量)が設定されていません。

表2.グリチルリチン酸の一日摂取量(mg/人/日)
調査年度 2002 2006 2011

2015

2019
食品群別試料調査結果より 0.59 0.26 0.31

0.37

0.40
個別試料調査結果より 0.48 0.27 0.41 0.41 0.31
グラフ:グリチルリチン酸一日摂取量内訳
図1.グリチルリチン酸一日摂取量の食品群別内訳(2019年度調査)

2.アナトー色素(ノルビキシン、ビキシン)

アナトー色素はベニノキという植物から抽出した赤褐色の粉であり、黄色系、オレンジ系の着色料として、様々な食品に使用されています。アナトー色素の主な色素成分はノルビキシン、ビキシンというカロテノイドの一種です。
ノルビキシン、ビキシンの一日摂取量は表3~4のとおり、ノルビキシンの食品群別内訳は図2のとおりです。ノルビキシンのADIは0.6mg/kg体重、ビキシンのADIは12mg/kg体重で、体重50kgの成人に対してそれぞれ、30mg、600mgですが、本調査で得られた一日摂取量はそれらを大幅に下回っています。

表3.ノルビキシンの一日摂取量(mg/人/日)
調査年度 2003 2007 2010 2012 2020 対ADI比(%)
食品群別試料調査結果より 0.016 0.024 0.015 0.016 0.004 0.00~0.08
個別試料調査結果より 0.028 0.065 0.014 0.015 -※ 0.05~0.22

※:沖縄県が担当していないため不掲載

表4.ビキシンの一日摂取量調査(mg/人/日)
調査年度 2007 2010 2012 2020 対ADI比(%)
食品群別試料調査結果より 0 0 0 0 0
個別試料調査結果より 0.002 0.0004 0.0001 -※ 0.00

※:沖縄県が担当していないため不掲載

グラフ:ノルビキシン一日摂取量内訳
図2.ノルビキシン一日摂取量の食品群別内訳(2020年度調査)

3.BHT、BHA、没食子酸プロピル

BHT、BHA、没食子酸プロピルは、いずれも酸化防止剤であり、それぞれ魚介冷凍品や油脂等に使用基準が定められています。
BHT、BHAの一日摂取量は表5~6のとおり、BHTの食品群別内訳は図3のとおりです。没食子酸プロピルは、これまでの調査で個別食品がなく、食品群別試料からも検出されておりません。BHTのADIは0.3mg/kg体重、BHAのADIは0.5mg/kg体重で、体重50kgの成人に対してそれぞれ、15mg、25mgですが、本調査で得られた一日摂取量はそれらを大幅に下回っています。
BHT、BHAともに、現在市販されている食品にはほとんど使用されておらず、2008年度~2021年度調査において個別食品はありませんでした。BHTについては、食品群別試料から検出されておりますが、原因としては包装からの溶出または製造工程での混入が考えられます。また、BHAの2004年度の結果で食品群別試料と個別食品の結果が大きく解離しているのは、表示違反品が混入した可能性が考えられます。

表5.BHTの一日摂取量(mg/人/日)
調査年度 2004 2008 2013 2017 2021 対ADI比(%)
食品群別試料調査結果より 0.051 0.008 0.007 0.009 0.007 0.05~0.34
個別試料調査結果より 0.001 0 0 0 0 0~0.01
表6.BHAの一日摂取量(mg/人/日)
調査年度 2004 2008 2013

2017

2021 対ADI比(%)
食品群別試料調査結果より 0.058 0 0 0 0 0~0.23
個別試料調査結果より 0.002 0 0 0 0 0~0.01
グラフ:BHT一日摂取量内訳
図3.BHT一日摂取量の食品群別内訳(2021年度調査)

その他の情報

本調査全体の結果については、厚生労働省のWebサイトから各年度の報告書を読むことができます。

また、沖縄県が担当した食品添加物について、分析法や結果の詳細を各年度の研究所報にまとめております。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 保健医療介護部 衛生環境研究所
〒904-2241 沖縄県うるま市兼箇段17-1
電話:098-987-8211 ファクス:098-987-8210
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