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更新日:2022年5月10日
2005年5月23日現在で、毒蛾皮膚炎をおこすタイワンキドクガの幼虫(写真1、2)の発生が石垣市、糸満市、大里村、那覇市、豊見城市で確認されています。去年は大量発生し、多くの患者が皮膚科で受診したといわれています。また、去年の4月下旬には、修学旅行で沖縄を訪れた兵庫県の高校生が糸満市大度海岸でスノーケル体験などを楽しんだ後、先生や付き添いを含む172人のうち76人がタイワンキドクガによる毒蛾皮膚炎を発症しました。今年は、すでに石垣市でタイワンキドクガが大量に発生していると報道され、沖縄本島での発生もこれからピークに向かうとみられます。タイワンキドクガに注意しましょう。
タイワンキドクガの幼虫は大きくなっても2cm程度で、背中のオレンジ色の線と黒いコブが特徴(写真1、2)です。雑食性ですが、クワディーサー(モモタマナ、コバテイシ)の葉で多く見られます。
写真1.タイワンキドクガの幼虫
写真3.タイワンキドクガの毒針毛
かゆみや紅斑(赤いブツブツ)などの症状が現れます(写真4)。タイワンキドクガに類似した毒蛾皮膚炎をおこすチャドクガでの症例によると、幼虫が皮膚に接触した直後から局所にかゆみ、紅斑などが生じる場合(即時型反応)と、その1~2日後にかゆみの強い紅斑や丘疹が生じる場合(遅延型反応)があります。これらの症状には個人差があり、片方だけ起こる人や、全く症状が現れない人もいます。
写真4.タイワンキドクガによる毒蛾皮膚炎
発生している場所に近づかないことが最も大事ですが、やむを得ず近くで作業をするときは長袖や長ズボンなどを着用し、できるだけ皮膚の露出を抑えます。着用した衣服には毒針毛が付着している可能性があるので、作業後はよく洗濯しましょう。
作業場所へは粘着テープを持参し、かゆみなどを感じても絶対に掻かないでください。掻くと毒針毛で皮膚をこすることになり、症状が広がります。まず、粘着テープをかゆい場所やその周辺に張ったりはがしたりして毒針毛を取り除きます。次に石鹸をつけてよく洗い流します。
症状が軽ければ、市販の抗ヒスタミン軟膏を塗り、かゆみや紅斑がひどければ、病院の皮膚科で診てもらいましょう。
「チャドクガの幼虫による皮膚炎について」 兵庫医科大学皮膚科 夏秋 優
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