調査船図南丸について
装備
船体の設備や、航海計器、水中カメラ(ROV)について紹介します。
錨(いかり)
錨は揚錨機(ウインドラス)という電動油圧の機械で巻き上げます。
直接錨鎖(アンカーチェーン)に力を加える部分を錨鎖車(写真A、B)といいますが、これは錨鎖のサイズにピッタリ合わせて作られており、鎖をしっかりととらえて錨鎖庫(チェーンロッカー)へ送り込んでくれます。
写真Bの方はドックに入って錨鎖を外した時のものです。サビ止めのペンキが塗られて灰色になっています。
舵(かじ)
舵は油圧シリンダーの力で動かします。
操舵室でハンドルを回すと電気信号となって伝わり、電磁弁が開きポンプで作られた油圧が吐出されます。この時片方のシリンダーにはオイルが流れ込み、もう一方のシリンダーからはオイルが抜き取られ舵を回転させる力になります。
バウスラスター
バウスラスターとは船首船底に横向きに空けられたトンネルの中に設置されたプロペラのことをいいます。バウスラスターのある位置での図南丸の断面図です。
港内など狭い所で、船首をちょこっと横に振りたい時に役立つ、小回りのきくメカニズムです。図南丸のバウスラスターは油圧モーター式の固定ピッチタイプです。(かもめプロペラ製)
エンジン
エンジンは1200馬力です。主機関は単動4サイクルトランクピストン型直接噴射の中速ディーゼル機関です(新潟鉄工所製)。
出力は1200ps/900rpmとなっています。クラッチは湿式多板油圧の縦異芯型です。(新潟コンバーター製)
機関制御室(エンジンコントロールルーム)
モニター2台と各種メーター類が並び、機関の制御、監視を行います。
冷凍機と魚倉
冷凍機はNISSINのBRINE COOLER UNITで、冷媒はR22です。魚倉の壁にはパイプが張りめぐらされており、中にエチレングリコールが流れています。冷媒R22でエチレングリコールを冷やす間接冷却式となっています。
無線設備
無線室内の様子です。(写真左)
操舵室の海図台の上にも国際VHF等の無線設備が並んでいます。(写真右)
航海計器
主な航海計器です。
操舵室
- ①カラー魚群探知機 FURUNO FCV-140
- ②GPSカラープロッター兼レーダー JRC JMA-3700
- ③レーダー JRC JMA-8000
- ④旋回窓
- ⑤トラッキングパイロット(自動航行装置)トキメック
- TP-20
- ⑥操舵ハンドル
レーダー
空中線から電波を発して、他船や障害物を探知する機械で、夜間や霧中等の視界不良時に衝突予防に役立ちます。
矢印のところが空中線で、使用時には回転し電波の送信と反射波のキャッチを行います。
糸満漁港内のレーダー映像
映っているのは防波堤です。
GPSカラープロッター
この画面では久米島から慶良間列島辺りの海域になっています。
魚群探知機
これはマチ類の漁場での映像です。深海から急激に浅くなっていて、いわゆる海山(曽根)と呼ばれるものです。
ROV(自走式遠隔操作型水中カメラ)
図南丸ではROV(自走式遠隔操作型水中カメラ)を使用しています。(広和株式会社製)
ROVは海中をのぞいて観察する機械で、本体にはカメラとライト、プロペラが付けられています。
船上でジョイスティックコントローラを操作して、モニターに映し出される海中の様子を見ながら自由自在に動かすことができます。ケーブルの長さは250mで、限りがあるためあまり深い所では使えませんが、沿岸の漁礁の探索やサンゴ礁のオニヒトデの生態調査に活躍しています。
かわいいお顔。カメラの向きは自由に変えられます。