>> P.6
6美ら島沖縄2019.1「組踊」は「くみおどり」と読みます。「踊」の字が入っているので、舞踊やダンスを思い浮かべがちですが、組踊は「お芝居」の一種です。ですので、舞台という仕切られた空間に、登場人物が出てきてセリフを喋り、楽器や歌による演奏を交えながら、喜びや悲しみ、時には笑いも含んだドラマを演じ、ひとつの物語を紡いでいきます。「組踊」は、シェークスピアや歌舞伎ほどではありませんが、それでも300年の歴史がある「お芝居」です。カメラも飛行機もない時代、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)という王府の役人が、大陸や本土の芸能から色々と学び、当時の沖縄が持っていた「わざ」をかき集め、知恵を絞り、工夫を凝らして、一生懸命つくり出したのが「組踊」です。「組踊」はまた、「沖縄の伝統芸能が凝縮されている」とも言われます。組踊のストーリーは、沖縄の古い言い伝えをもとにし、セリフは沖縄の言葉により、沖縄独特のリズムにのって話されます。音楽もそうです。三線をはじめとする楽器により演奏今年でなんと300年。「組踊」をご存知ですか?されるのは、沖縄の歌と曲です。そして演じ手たちは、紅型をはじめとする衣裳をまとい、琉球舞踊をもとにした優雅な身のこなしにより、登場人物の動きを表現します。沖縄の人々は、この組踊に長年親しんできました。もともと琉球王国の役人たちが、中国からの大切なお客をもてなすためにつくられた組踊は、やがて首里城を飛び出し、離島を含む県内各地に広がりをみせ、地域の「お芝居」としても定着しました。また、比較的あたらしい時代につくられた沖縄芝居や雑踊も、組踊をヒントにしたといわれています。このように、沖縄の先人たちの英知の結晶であり、ぎゅっと沖縄らしさが詰まっていて、そして沖縄の人々に長く親しまれてきた「組踊」を、もしあなたがまだ知らない、あるいは何となく敬遠してしまっているのなら、とても惜しいことをしていると思いませんか。少し、組踊に触れてみようかなという気持ちになっていただけたでしょうか。次は、組踊を楽しむコツをお伝えします。「組踊」とは?特集2