美ら島沖縄 vol.511

「美ら島沖縄」は、県政についての情報や、県内各地域の情報をわかりやすく県民の皆様に伝えるための雑誌です。


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特1集SPECIALISSUE琉球諸島に属する本県は、国内唯一の〝亜熱帯海洋性気候〞にあり、近傍を流れる黒潮の影響により一年を通して温暖な気候にあります。そのため、亜熱帯域に多雨林が発達する、世界でも稀で特異な自然環境を有する地域となっています。沖縄本島北部は「やんばる」と呼ばれ、日本最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナをはじめとする希少な動植物が生息・生育しています。(写真1)さらに、広大なマングローブ林や原生林を有する西表島では、イリオモテヤマネコを頂点とする生物多様性豊かな生態系が形成されています。(写真2)こうした類まれなる自然環境を有することを背景に、やんばる地域と西表島は、鹿児島県の奄美大島、徳之島とともに、4つの地域から構成される「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として世界自然遺産登録を目指しています。【登録されるには?】世界自然遺産に登録されるには、人類共通でかけがえがなく、他に二つとない「顕著で普遍的な価値」を有しており、4つの登録基準「自然美」、「地形・地質」、「生態系」、「生物多様性」のどれか一つ以上を満たしている必要があります。また、将来に渡って遺産価値である自然環境を保全するため、国立公園への指定等による当該地域の自然環境を厳正に保護する措置がとられていることや、地域と連携した遺産の管理体制が構築されていることなどが求められます。【遺産としての価値は?】本地域では、1千万年以上もの長い時間の中で大陸と分離・結合を繰り返し、現在の琉球諸島が形成される過程で、島々に隔離された生き物たちが独自の進化や分化を遂げています。ヤンバルテナガコガネ(写真3)やリュウキュウヤマガメなどは、同種や近縁の種が、大陸や近隣地域で絶滅してゆき、やんばる地域にだけ残された種です。これらの種は、生きた化石「遺存固有種」と呼ばれています。さらに、トゲネズミやイシカワガエル(写真4)などは、奄美群島と沖縄諸島でさらに種分化し、それぞれ独自の進化を遂げています。また、イリオモテヤマネコ(写真5)は、海面低下した氷期に台湾から西表島へ移動し、タイワンヤマネコと分化したと考えられています。こうした大陸との地史を反映した独特の生物進化を表す「生態系」や、ヤンバルクイナ(写真6)をはじめとする多数の国際的な絶滅危惧種が生息・生育している「生物多様性」が、顕著な普遍的価値として登録基準を満たす可能性が高いとされています。1〜さあ、世界へ〜〜さあ、世界へ〜「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録について(参考文献一覧)●世界遺産条約履行のための作業指針2015.7.8世界の文化遺産及び自然遺産の保護のための政府間委員会●世界遺産一覧表記載推薦書奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島2017.1日本政府●奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産推薦地包括的管理計画2016.12.27環境省等●世界遺産データブック2014.8.31シンクタンクせとうち総合機構やんばる地域及び西表島の世界自然遺産登録について西表島では、メヒルギやオヒルギなどからなるマングローブ林が広がり、海、川、森が連続した自然を有しています。日本最大の甲虫であるヤンバルテナガコガネは生息環境となる樹洞を有する大径木が減少していることや違法採集によって、生息が脅かされています。日本で一番美しいカエルともいわれているイシカワガエルは奄美大島と沖縄本島で別種に分化しており、新固有種と呼ばれています。国の特別天然記念物にも指定されているイリオモテヤマネコは推定個体数が100頭前後とされ、交通事故や生息地の消失等により絶滅の危機に瀕しています。やんばる地域にはスダジイが優占する亜熱帯照葉樹林が広がり、ドングリ等の森の恵みは多くの生物の生命を支えています。❶❷❸❹❺便利な暮らし、よりよい社会へ!始まりました!マイナンバー情報連携4美ら島沖縄2018.4


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