美ら島沖縄 vol.474

「美ら島沖縄」は、県政についての情報や、県内各地域の情報をわかりやすく県民の皆様に伝えるための雑誌です。


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歌碑に刻まれた歌が時を超えて思いを届ける沖縄各地に点在する歌碑。そこには琉歌や短歌、俳句、詩などが刻まれ、味わい豊かに語りかけてきます。地元だけに、ほとんどが琉歌で、恩納ナベや吉屋チルといった時代が生んだ女流歌人の趣ある歌をはじめ、その土地の美しさや、恋心、教訓を詠んだ歌などが碑文として刻まれています。「歌碑を読むと、その背景が浮き彫りになります。なかでも30文字の島言葉に思いを託した琉歌は沖縄独自の文化で格別の味わい。祖先が三線の調べにのせて口ずさんだ琉歌に触れ、思いを感じて欲しい」と話してくれたのは歌碑に関する著書の出版や、歌碑巡り講師としても知られる垣花武信さん。現在、県内には新旧合わせて150ほどの歌碑があり、それぞれがゆかりのある場所に建立され、静かに佇んでいます。見かけた時には足を止め、地域の人々が後世に残すために刻んだ歌に思いを馳せてみませんか。吉屋チルは恩納ナベとともに琉歌の二大女流歌人。家が貧困のため、幼くして那覇の遊郭に身売りされ、遊女になって多くの歌を残している。この歌はチルが売られていく途中、比謝橋を渡った時に詠んだものといわれている。(建立地:嘉手納町と読谷村を結ぶ比謝橋のたもと)吉屋チル琉歌沖縄を代表する教訓歌。1928年(昭和3年)、今上天皇御大典記念事業の一環として行われた貯蓄奨励民謡募集に当選した初代具志頭郵便局長仲本稔の作詞で作曲は宮良長包によるもの。廃藩置県後の貧しく苦しい暮らしのなかで勤倹貯蓄を奨励している。(建立地:八重瀬町具志頭)汗水節垣花武信さん生涯学習サークル「四季の会」会長、国立劇場歌碑めぐり講師、県立総合教育センター歌碑めぐり講師などでご活躍中の垣花武信さん。沖縄の歌碑に造詣が深く、著書には「沖縄文学碑めぐり」(那覇出版社)がある。平成26年春の叙勲にて瑞宝双光章(教育功労)を受章汗水ゆ流ち働ちゅる人の心うれしさや與所の知ゆみ歌意汗水流して働くうれしさ働く喜びを他の人がわかるものでしょうか恨む比謝橋や情ないぬ人のわぬ渡さともてかけておきゃら歌意恨めしい比謝橋はなんて情がない人がこの私を渡そうと思って架けたのでしょうか草紙沖縄の歌碑知ろう!語ろう!おきなわの底力3月25日(水)~29日(日)美ら島沖縄2015.310


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