美ら島沖縄 vol.452

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聖クララ教会は、人々の心の支えになってほしいとの願いから、地域のどこからでも見えるような位置に建設されました。教会につきものの塔や左右対称のイメージにとらわれることのない設計は、建築家・片岡献が世界的な設計事務所SOMのサポートを得て行い、アメリカの近代主義建築の影響が見られるといいます。全面のステンドグラスと、中庭に面したガラス窓に囲まれた聖堂は、いつも光にあふれ風が吹き抜ける美しく清浄な空間です。ステンドグラス越しにはヤシの木が風にそよぎ、遠くに中城湾が見え、沖縄らしい明るく開放的な雰囲気は、訪れた者を安らいだ気持ちにさせてくれます。「教会は祈りの場です。畳の方がゆっくりできるという方もいらっしゃるでしょう。ここでは人につくりを合わせているのです」。教会ができたころは、すべてが畳敷きだったそうですが、現在も一部その空間が残っています。沖縄の人の生活様式に合わせた聖堂の中で、多くの祈りが捧げられてきました。建設されてから60年近くたっていますが、聖クララ教会の建物は現代に通じる様々な工夫が取り入れられています。そのひとつが雨水の利用。中央から左右に蝶が羽を広げるような形の屋根は、大らかな飛翔感のあるデザインですが、その一方雨水をためる構造にもなっています。地下の貯水槽に集められた雨水は、洗濯やトイレなどの生活用水として利用されます。また、シスターが高齢になり体が不自由になることがあってもミサに参列できるように、修道院から聖堂をつなぐ廊下も含めてバリアフリーの構造になっています。「シスターが生活していくのに支障がないようにいろいろ考慮して設計されています。だから60年近くの年月を経ても、古びることがないのでしょうね」戦後建設された当時と変わらぬ姿で大切に使われている聖クララ教会は、近代建築の調査と保存のための国際組織であるドコモモ日本支部により「日本におけるDOCOMOMO150選」に選定されています。この素晴らしい建物を多くの方に知ってもらいたいと、毎年新春に(社)沖縄県建築士会島尻支部の主催で、聖堂を使ったコンサートが開催されています。このときは、いつもは見ることのできない修道院の見学もできるそうです。聖クララ教会は、早朝から夜の9時ごろまで常に開かれていて、望めば信者でなくてもそこで祈ることができます。「信仰がなくても、心が求めるなら神の前で涙を流し、愚痴を言い、祈ることで癒されることができればいいと思います」と中村シスター。清らかで静せいひつ謐な空間に身を置き、自分の心と向き合うことのできる聖クララ教会は、戦後の大変な時期に人々を救ったように、今もまた人々の心のよりどころとして、そして祈りの場として、大切に守り愛され続けています。自然にとけこみ人々の暮らしに寄り添った建物エコで人に優しい建築物としても貴重な教会心のままに祈りを捧げることのできる場所沖縄を慈しみ沖縄の地に骨を埋める混迷の真っただ中にあった戦後の沖縄に、宣教のために訪れたフェリックス・レイ司教は様々な事業を行いました。まず教会用地を確保し教会を建設。カトリック救済奉仕団に働きかけ全沖縄の小・中学校でパンとミルクの学校給食をおこしました。また診療所や学校の設置、戦争未亡人の救済のためにミシン部とランドリー部の運営を行いました。戦後の沖縄の復興に力を尽くした方だったのです。沖縄の地に骨を埋める覚悟で沖縄と向き合ったその思いの通り、現在聖クララ教会の庭で、気持ちを同じくするティベド司祭とバントル神父とともに花に囲まれて眠っています。光あふれる聖堂。朝の祈りから夕の祈りまで、日に何度も祈りの時間が持たれる。教会は望む人に開かれた祈りの場だ。聖クララ教会与那原町与那原3090-5地下の洗濯室。壁の向こう側は雨水の貯水槽。手前の目盛りのある柱は、浮きを使った簡単な装置で、水の残量がわかる仕組み。美ら島沖縄2013.511〜生活から就職までをワンストップでサポート!ジョブたんグッジョブセンターおきなわが開所しました。


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