(33)川平
荒川の中流域から上流域にかけての河岸斜面にはカンヒザクラが自生している。これはカンヒザクラが群落を成している訳ではなく、河川斜面に点在しているものであるが、自生状になっている所は此処だけであり、大事に保護すべきである(「荒川のカンヒザクラ自生地」、「石垣島荒川のカンヒザクラ」)。「吉原ネパル御嶽のリュウキュウガキ林」は、隆起サンゴ礁石灰岩を基盤にした海浜地域に発達する森林であり、樹冠はリュウキュウガキ、タブノキ、ハスノハギリ等で構成され、亜高木層にリュウキュウガキ、アカメイヌビワ等、低木層にシマヤマヒハツ、アカテツ等が生育する、代表的な石灰岩地砂浜の海岸林である(「仲筋村ネバル御嶽の亜熱帯海岸林」)。於茂登岳、桴海於茂登岳を中心とした山地帯には、低海抜から山地上部に向かってイタジイ林、イスノキ林が発達し、山地上部にはリュウキュウチク林が分布する。リュウキュウチク林は、季節風帯の植生として、風圧を示す指標的な植生である。イタジイ林は八重山群島の代表的な気候的極相林であるなど、本地域の植生は亜熱帯地域の代表的な森林であり、良く保存されている(「於茂登岳・桴海於茂登一帯の植生」)。屋良部半島北西部の海崖は、常に強い潮風にあてられて風衝草地が発達している。ここには、ヤブランを主体にした群落、コウライシバを主体にした群落、カショウアブラススキを主体にした群落、ヘンリーメヒシバ、ハギカズラ等が優占する群落など多様な植生が発達している(「御神崎の草地植生」)。屋良部半島の中央部に、あまり人為的干渉を受けていない自然度の高い風衝性常緑広葉樹林がある(「屋良部岳の植生」)。
石崎付近には、大小6個の凝灰角礫岩(約4,000万年前の火成岩)に発達する円錐丘がある。川平北西には、2個の凝灰角礫岩に発達する円錐丘がある。野底ビーチには、砂丘を伴う長さ500m程の堤洲(砂洲)があり、背後の低地は水田である。川平湾は、奥行約2Km、幅約1Kmの湾であり、湾岸には琉球石灰岩が縁取り、ノッチの形成が見られる。御神崎の北岸には、琉球石灰岩に形成された、一連(約2Km)のノッチがある。御神崎の南岸には、琉球石灰岩に形成された、一連(約1.5Km)のノッチがある。川平北西には長さ約150mのビーチロックがある。吉原北方には長さ約90mのビーチロックがある。御神崎には、火砕岩・泥岩に発達する円錐丘がある。於茂登岳は山頂が小起状の準平原地形(山頂平坦面)となっている。戻る
(34)白保
宮良川河口に発達するマングローブ林には、ヤエヤマヒルギ林、ヤエヤマヒルギ−オヒルギ混生林、オヒルギ林が生育し、範囲が広いことと、ヒルギ林が良く保存されていることから重要な植生といえる(「宮良川のヒルギ林」、「宮良川のマングローブ林」)。宮良御嶽は宮良小学校の北方約1.5Kmの台地上に位置し、拝所周辺にタブノキ、フクギ等が優占する御嶽林が発達する(「宮良仲嵩御嶽の御嶽林」)。
カラ岳付近には、カラ岳(136m)を中心とする、大小6個の残丘(円錐丘を含む)がある。白保には、長さ1Km余、幅約200mの砂丘があるが、採砂によって背後の部分が消失している。白保南西海岸には、礁原上の礁岩塊(リーフブロック)が見られる。同様な岩塊は、石垣島の東海岸全域で認められる。白保南から宮良にかけて、琉球石灰岩に形成された長さ2Km余の一連のノッチがある。宮良川河口部には、ヒルギ林の低湿地(マングローブ湿地)がある。石垣島東海岸の礁原や海岸(陸地)にはリーフブロック(サンゴ礁起源の岩塊)が無数に分布している。これらの岩塊は津波によって打ち上げられた岩だと言われている。そのなかで、大浜の崎原公園内の「津波大石(つなみうふいし)」は特に有名である。大浜南方海岸には、石垣島の東南側が隆起する傾動運動によって出現した完新世離水サンゴ礁がある。戻る
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