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適材適所の魔除けでマジムンを撃退し、家や家族を守る屋根の上からにらみをきかせるシーサー、丁字路や三叉路などに立つ石敢當は、ウチナーンチュなら誰もが知っている二大魔除け。ほかにも門から入ってきたマジムンを跳ね返すヒンプン、家を守るために門や軒に吊るしたスイジガイやシャコガイ。さらに、ゲーンで屋敷にバリアを巡らせ、サンで戸外に持ち出す食べ物を守るなど、沖縄ではさまざまな場面に魔除けが登場し、日常に潜む災いを遠ざけてきました。「沖縄では、年中行事についても、そのほとんどが魔除けと厄払いの要素を含んでいるといってよく、医療も発達していなかった時代の人々にとって、生命をも脅かすと考えられたヤナムンやマジムンといった邪悪なものを撃退することは、たいへん重要でした。魔除けの多様さも、それをよく表すものです」と話してくれたのは沖縄国際大学非常勤講師で、沖縄の民俗文化を研究する稲福政斉さん。時を経て魔物のニュアンスは変わってきましたが、家や家族を守るため、そして心の拠り所として今後も沖縄の魔除けは活躍してくれそうです。14~15世紀に中国から伝わったといわれる。魔物は直進しかできない性質を持っていることから丁字路や三叉路に石敢當を置くと、それにぶつかった魔物を跳ね返すとされている。もともとは「石敢當」の文字を彫りこんだ石碑を立てたが、最近では手軽な表札タイプのものも市販され、よく利用されている。石敢當(いしがんとう)玄関に吊るしたり、屋敷周りに置いて悪いものが入ってくるのを防いだ。畜舎では家畜の疫病を防ぐために吊るした。また、スイジガイは、「水」という字に似ていることから、火災除けとしての役割も果たした。スイジガイ・シャコガイ輪の中に葉の先端を差し込みます。コラムサンの作り方食べ物を戸外に持ち出す時にヤナムンから守ってくれるサン。簡単に作れるので遠足やピクニックなどお弁当の上にのせて、食べ物を守ってもらいましょう。芯になっている葉の上部を持ち、先端の葉を引っ張りながら、形を整えますさらに、輪を作るように曲げていきます。先端部分の葉をイラストのように曲げます。稲福政斉さん沖縄国際大学非常勤講師・同大学南島文化研究所特別研究員ほか、県内数カ所の市町村で文化財保護審議委員を務める稲福政斉さん。研究分野は沖縄の祭祀文化、美術工芸など。市民レベルの講演会活動も積極的に行っている。342112お酒を飲まない日をつくろう!美ら島沖縄2014.1211