カンボジア・花の平和交流事業

ページ番号1008337  更新日 2024年1月11日

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カンボジアで「沖縄の心」を発信 沖縄平和賞・花の平和交流事業

写真:カンボジアでの交流事業の様子

沖縄県民が長い歴史の中で培ってきた平和を希求する「沖縄の心」を外国の地で発信する旅が実現しました。

平成15年11月20日から24日にかけて、沖縄平和賞委員会会長の稲嶺知事をはじめ県民約150名がカンボジア王国を訪れ、花の平和交流事業植樹式などを通じて同国との交流を深めました。
カンボジア国民は、長期にわたる内戦や政治不安による苦難な歴史を経て、現在は国の復興・発展に向かって懸命な努力を続けています。

戦後の沖縄が、県外県系人などから贈られた多くの花木に勇気づけられた歴史を踏まえ、カンボジアの人々に激励のエールを届けるとともに、心身を癒し安らぎのある生活を送れるようにと、植樹式に先立ち、平成15年7月にカンボジア・プノンペン市に1,000本の花木を送りました。
21日午前に行われた植樹式では、国の復興に努めるカンボジアの人々と共に沖縄から送られた花木を植樹し、平和を希求する思いを共有することができました。

(写真)美しい花が咲くのを楽しみに、県花のデイゴのほか、イペー、コガネノウゼン、トックリキワタを植樹しました。

写真:式典で挨拶を行うカップ・チョテマープノンペン市長

式典で挨拶を行ったカップ・チョテマープノンペン市長は、「植樹を行う広場を“プノンペン-沖縄友好広場”と名付け、贈られた花木を大切に育てていきたい」と述べました。


写真:カンボジア語・英語・日本語で記された記念碑

式典では広場の名称を刻んだ記念碑の除幕も行われ、記念碑のそばには県花であるデイゴを稲嶺知事がカップ・チョテマー市長とともに植樹しました。さらに、カンボジアのアプサラ舞踊、琉球舞踊「四つ竹」が披露され、文化交流も図られました。
式典の最後には、出席者全員でトンレサップ河畔に植樹を行いました。

(写真右)カンボジア語・英語・日本語の三カ国で記された記念碑

写真:記念レセプションの様子

写真:元ウチナー民間大使のシム・サミット氏と現同大使の二・キムサン氏

同日夕方に開催された記念レセプションには、チョテマー市長や小川駐カンボジア日本国大使をはじめ、県民参加者及びプノンペン市民が集い、片言の英語や元日本留学生の通訳を介して楽しく会話が弾み、友好を温め交流を深めました。

式典では、沖縄県造園建設業協会の創立30周年を記念して、同協会青年部下地部長からチョテマー市長へプノンペン市の緑化に役立てて欲しいとのことで種子が贈呈されました。
(写真右)元ウチナー民間大使のシム・サミット氏と現同大使の二・キムサン氏は、日本語でスピーチを行いました。

ウチナーンチュの活躍と子供達の未来

カンボジアで活躍するウチナーンチュがいます。牧師のケン・ニールセンさんと妻の勝子さん(読谷村)は、身よりのない14名の子供達を引き取って一緒に生活しています。

子供たちが自立できるようにと、特に教育に力を注いでいます。子供たちからカンボジアの歌で歓迎をうけた稲嶺知事は、「ここの子供たちは本当に明るい。大切に育てられていると感じているのだろう。」と述べました。

活動の目標として、勝子さんは「社会に貢献出来るような子に育って欲しい。」と話し、ニールセンさんも「このような(草の根の)活動が広まることにより、カンボジアの人々や国に貢献できれば。」と話していました。

写真:牧師のケン・ニールセンさんと妻の勝子さんと子供たち

ニールセン夫妻(写真)は、自己資金と米国からの基金援助を受け、数人の現地スタッフとともに養育活動を行っています。
カンボジアにおいては、県内のNGOも教育分野などで活動を行っており、子供たちの将来を支援しています。

プノンペン市のセソック小学校には、アジアチャイルドサポートNGO沖縄(池間哲郎代表)が支援し建設された沖縄学校があります。稲嶺知事ら訪問団は同校を訪れ、3,000名の児童に鉛筆とノートを贈呈しました。

写真:沖縄学校とそこで学ぶ児童達
沖縄学校と子供達

新しい交流の動き

植樹式に先立ち、現地の小学生が“プノンペン-沖縄友好の広場”の碑の台座に装飾を施しました。

写真:沖縄友好の広場の碑の台座に装飾を施した現地の小学生たち

チュロイ・チャンワー小学校の皆さんまた、県内の小中学校との間で作文と絵を交換する交流が行われました。
〈交流校〉・沖縄県・プノンペン市
佐手小中学校(国頭村)クバール・チュロイさくら小学校
糸満小学校チュロイ・チャンワー小学校

スタデイーツアー参加者の声

NPO法人沖縄平和協力センターが企画したスタデイーツアーの参加者は、地雷除去や小型武器回収などの活動をしている現地NGO等を訪問しました。
(川上伸一さん:26歳、アルバイト)
いかに僕たちが恵まれすぎた環境に生まれ育ち、戦争を知らないのか、一方で日々の生活のために幼い子供までもが働かなければならない、戦争を経験して間もない国があるという現実を肌で感じることが出来ました。今まで身近に感じなかった国を好きになり、その発展を心から願えるようになれたのが一番の収穫であり、同じく多くの若者が実際に現地を体験することで世界中の国々と友好の心が育まれていくと思います。
(比嘉陽子さん:21歳、学生)
私たちは農村まで行って、除隊兵士支援を受けている家庭を訪問しました。日本のNGO,ODAは有効に機能しているようですが、人々はその日暮らしが精一杯でまだまだ問題は山積みです。しかし、人々は皆、心の底から笑っているようにとても美しい笑顔をみせます。豊かさの基準は経済水準で図ることが出来ません。「美しい笑顔と大自然」というカンボジアの財産を活かした発展が重要だと感じました。

カンボジアってどんな国?(外務省ホームページより)

イラスト:カンボジアの場所を示す地図

面積:18.1万平方キロメートル
人口:1,170万人
首都:プノンペン
宗教:仏教(上座部仏教)
国民1人当たりGDP:253USドル
平均寿命:男51.5歳女55.0歳
略史:12世紀国家統一、アンコールワット建立
1431年アユタヤ朝(タイ)侵攻1863フランスの植民地となる
1953年ベトナム戦争に巻き込まれる
1975年ポル・ポト政権誕生
1993年新生カンボジア王国誕生

ポル・ポト政権時代に、数多くの知識人や古典・民族舞踊の踊り手、伝統文化の継承者が弾圧を受け、尊い命が奪われました。生き残った数少ない指導者達は、若い世代に伝統文化を継承する喜びと責務をかみしめながら毎日の指導にあたっています。

訪問団は、カンボジア王立芸術大学、クメール伝統織物研究所などを視察しました。また、トゥールスレーン博物館では、ポル・ポト政権時代にあらゆる職業につく人々が拷問、処刑された悲しい事実を目のあたりにしました。

写真:カンボジア王立芸術大学とクメール伝統織物研究所

カンボジア王立芸術大学では、通学前の早朝練習が行われています。クメール伝統織物研究所では、沖縄の織物との共通点を発見しました。

訪問団は、今回の旅でカンボジアの光と陰に出会いました。人間1人ひとりの命の尊さと伝統や文化のすばらしさをあらためて実感するとともに、恒久平和への思いを新たにしました。

写真:世界の三大遺跡のアンコール遺跡群

世界の三大遺跡のアンコール遺跡群は、カンボジアの悠久の歴史と文化を物語っており、カンボジア国民の誇りを象徴しています。

イラスト:沖縄平和賞のロゴ

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