世界遺産関係 Q&A

ページ番号1004748  更新日 2024年1月11日

印刷大きな文字で印刷

Q1:ユネスコ(UNESCO)とは?

A1

正式には「国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational,Scientific and Cultural Organization)」といい、教育、科学、文化を通じて諸国間の協力を促進し、世界平和と人類の福祉に寄与することを目的とする国際連合の専門機関です。本部はフランスのパリ。

このページの先頭へ戻る

Q2:世界遺産委員会とは?

A2

世界遺産委員会(World Heritage Committee)は世界遺産条約に基づいて組織され、締約国の中から異なる地域及び文化を偏りなく代表するよう選ばれた21ヵ国によって構成されます。委員会の任期は原則6年間で、2年に一度開かれる世界遺産条約締約国総会で改選されます。日本も2003年より委員会に名前を連ねています。
世界遺産委員会は原則毎年1回開催され、新規に世界遺産に登録される物件や拡大案件、「危機にさらされている世界遺産」などの登録及び削除、また、登録された遺産のモニタリングや技術支援、世界遺産基金(ワールド・ヘリテジ・ファンド)の用途などを審議、決定しています。

このページの先頭へ戻る

Q3:ユネスコ世界遺産センターとは?

A3

1992年にパリのユネスコ本部内に設置された世界遺産委員会の事務局。世界遺産委員会開催のための事務、条約締約国への技術及び情報の提供、世界遺産基金(ワールド・ヘリテジ・ファンド)の運営などを行っています。

このページの先頭へ戻る

Q4:国際自然保護連合(IUCN)とは?

A4

各国政府、国際団体、民間自然保護団体などから構成された自然環境の保全に関する国際的な連合体。推薦された自然遺産の調査と評価について世界遺産委員会に協力しています。

このページの先頭へ戻る

Q5:世界遺産基金(ワールド・ヘリテジ・ファンド)とは?

A5

世界遺産の保護・保存のため、世界遺産条約に基づき創設された基金。世界遺産条約締約国の分担金や任意の拠出金のほか、締約国以外の国や国際機関、団体や個人からの寄付などによって成り立ち、世界遺産委員会が管理を行います。
基金の主な使途は、世界遺産リストに推薦すべき遺産の事前調査に対する援助、危機遺産保護のための緊急援助、世界遺産の保存・修復のための技術者研修派遣、広報活動に対する援助などに使われています。

このページの先頭へ戻る

Q6:危機遺産とは?

A6

世界遺産の中で、武力紛争、自然災害、大規模工事、観光開発、商業的密漁などの様々な理由によって重大な危機にされされている遺産は「危機にされされている世界遺産リスト(以下、危機遺産リスト)」に登録されます。危機遺産リストに登録された場合、国際的な協力を仰ぎ、世界遺産基金からの財政的援助を申請することができます。

このページの先頭へ戻る

Q7:世界遺産条約履行のための作業指針とは?

A7

世界遺産委員会が条約を円滑に運用するためにまとめたガイドライン。世界遺産リストや危機遺産リストの登録基準、ワールド・ヘリテジ・ファンドの運営等について細かく定めています。

このページの先頭へ戻る

Q8:自然遺産の定義は?

A8

世界遺産条約第2条において、自然遺産は以下のように定義されています。

  • 無生物又は生物の生成物又は生成物群から成る特徴のある自然の地域であって、観賞上又は学術上顕著な普遍的価値を有するもの。
  • 地質学的又は地形学的形成物及び脅威にさらされている動物又は植物の種の生息地又は自生地として区域が明確に定められている地域であって、学術上又は保存上顕著な普遍的価値を有するもの。
  • 自然の風景地及び区域が明確に定められている自然の地域であって、学術上、保存上又は景観上顕著な普遍的価値を有するもの。

このページの先頭へ戻る

Q9:顕著で普遍的な価値とは?

A9

世界遺産は、その定義上、顕著で普遍的な価値(OUV: Outstanding Universal Value 以下「OUV」)を有することが必要とされています。世界遺産条約履行のための作業指針(以下「作業指針」)において、自然遺産のOUVは以下のように定義されています。

顕著な普遍的な価値(OUV)(作業指針49段落)

OUVとは、国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び/又は自然的な価値を意味する。従って、そのような遺産を恒久的に保護することは国際社会全体にとって最高水準の重要性を有する。委員会は、世界遺産一覧表に資産を登録するための基準の定義を行う。

OUVの評価基準(作業指針77段落)

作業指針には、OUVの評価基準(クライテリア。以下「クライテリア」)が(1.)から(10.)まで示されています。このうち、自然遺産のクライテリアは以下の(7.)から(10.)の4つであり、世界自然遺産として推薦するには、以下の4つの基準のうちの1つ以上を満たす必要があります。

(7.)自然景観

類例を見ないひときわ優れた自然美及び美的要素をもつ自然現象や地域を含むこと。

(8.)地形・地質

生命進化の記録、地形形成において進行しつつある重要な地質学的過程、あるいは重要な地形学的、自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表とする顕著な例であること。

(9.)生態系

陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。

(10.)生物多様性

学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、最も重要な自然の生息・生育地を含むこと。

このページの先頭へ戻る

Q10:完全性とは?

A10

自然遺産を推薦する場合、OUVのクライテリアを満たした上で、その物件が完全性の条件を満たすことを示さなければなりません(作業指針78、87段落)。完全性とは、自然遺産の特質の全てが無傷で包含されている度合いを測るためのものさしであり、当該物件が以下の条件をどの程度満たしているかを評価するとされてます(作業指針88段落)。

  • (a)顕著な普遍的価値が発揮されるのに必要な要素がすべて含まれているか。
  • (b)当該資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために適切な大きさが確保されているか。
  • (c)開発及び/又は管理放棄による負の影響を受けているか。

人間活動との関わり

完全性と人間活動の関係についての考え方が作業指針90段落で以下のように示されています。
「OUVのクライテリア(7.)~(10.)までに基づいて登録推薦される資産は、全て、生物物理学的な過程及び地形上の特徴が比較的無傷であること。しかしながら、いかなる場所も完全な原生地域ではなく、自然地域は全て動的なものであり、ある程度人間との関わりが介在することが知られている。伝統的社会や地域のコミュニティーを含めて、人間活動はしばしば自然地域内で行われる。そのような活動も、生態学的に持続可能なものであれば、当該地域のOUVと両立し得る。」

各基準ごとの完全性の条件

以上に加えて、各OUVのクライテリア(7.)~(10.)ごとに完全性の条件が定義されています(作業指針91段落)。

(7.)自然景観

顕著な普遍的価値を有すると同時に、資産の美しさを維持するために不可欠な範囲を包含していること。例えば、滝を中心とする風景の場合、資産の美的価値に一体的に結びついた隣接集水域及び下流域を包含していれば、完全性の条件を満たす可能性がある(作業指針92段落)。

(8.)地形・地質

関連する自然科学的関係において相互に関連し依存した鍵となる要素の全て又は大部分を包含していること。例えば、「氷河時代」の地域であれば、雪原、氷河そのもの及び氷食形状、堆積、棲みつきのサンプル(例えば、条線、モレーン、植物遷移の初期段階等)を包含していれば、完全性の条件を満たす可能性がある。また、火山の場合は、溶岩起源鉱物の完全な変形シリーズが残っており、噴出岩の種類や噴火の種類の全て又は大部分が代表されていれば、完全性の条件を満たす可能性がある(作業指針93段落)。

(9.)生態系

生態系及びそこに含まれる生物多様性を長期的に保全するために不可欠なプロセスの鍵となる側面を現すために十分な大きさをもち、必要な要素を包含すること。例えば、熱帯雨林地域は、ある程度の標高変化、地形・土壌型の変化があり、パッチの系及びパッチの自然再生が見られれば、完全性の条件を満たす可能性がある。同様に、サンゴ礁であれば、例えば、海草やマングローブ、又はサンゴ礁への栄養塩や堆積物の流入を制御するその他近隣生態系を包含すれば、完全性の条件を満たす可能性がある(作業指針94段落)。

(10.)生物多様性

生物多様性の保全にとって最も重要な存在であること。生物学的に見て、最も多様性・代表性の高い資産のみがこの基準を満たし得ると考えられる。関係する生物地理区、生態系の特徴を示す動植物相の多様性を最大限維持するための生息環境を包含していることが求められる。例えば、熱帯サバンナの場合であれば、共進化した草食動物と植物の組み合わせが完全に残っていれば、完全性を満たす可能性がある。また、島嶼生態系の場合であれば、固有の生物相を維持するための生息環境を包含すべきである。広い生息域をもつ種を含む場合は、当該種の生存可能個体群サイズを確保するために不可欠な生息環境を包含するのに十分な大きさを確保すべきである。さらに、渡りの習性をもつ生物種を含む地域の場合は、繁殖地、営巣地、判明している渡りのルートが適切に保護されていることが求められる(作業指針95段落)。

このページの先頭へ戻る

Q11保護措置と管理体制とは?

A11

世界遺産の推薦にあたっては、OUVと完全性の登録時の状態が将来にわたって維持、強化されるように担保する保護管理、すなわち立法措置、規制措置、制度的措置もしくは伝統的手法による確実な保護及び管理が長期的に確保されていることを示す必要があります(作業指第78、96、97段落)。

保護措置

遺産の存続を保証し、遺産のOUVまたは完全性に負の影響を及ぼすおそれのある開発等から遺産を保護するために、国及び地方レベルにおいて立法措置、規制措置を整備することが求められています。その際、適切な境界線を設定すべきとされ、必要な場合には緩衝地帯(バッファーゾーン)を設定することが求められています。

管理体制

どのように当該遺産のOUVを保全するかについて明示した適切な管理計画を具備することが求められます。管理体制は、物件の現在及び将来にわたる効果的な保護を担保することを目的とし、文化的視点、資源量その他の要因によって様々な形を取ることができます。

このページの先頭へ戻る

Q12:国内外の類似遺産との比較

A12

自然遺産への推薦にあたっては、推薦物件を世界的レベルで他の類似物件と比較した場合に、OUVを有しているかどうかを評価するため、推薦物件と国内外の類似物件(世界遺産リストへの記載の有無を問わず)との比較分析書を提出し、国内的及び国際的にみた推薦物件の重要性を説明することが求められます。(作業指針132段落の3)

このページの先頭へ戻る

Q13:無形遺産も世界遺産に登録することができるの?

A13

いいえ。民俗芸能や口承伝統等の無形遺産は世界遺産リストには登録されません。世界遺産に登録されるのは有形の不動産のみです。しかし、2003年にユネスコ総会において、「無形文化遺産の保護に関する条約(以下、無形遺産条約)」が採択され、無形の文化を人類共通の遺産として捉え、保護していくことを目的とする条約が新たに生まれ、日本からは「能楽」「人形浄瑠璃」「歌舞伎」が選ばれています。

このページの先頭へ戻る

Q14:「琉球諸島」全域が世界自然遺産になるの?

A14

世界自然遺産に登録されるためには以下の条件を満たす必要があります。

  • OUVを有していること
  • 完全性
  • 適切な保護措置
  • 管理体制の構築

つまり、「琉球諸島」の中から、上記4点の条件を満たすことが可能な地域が、世界自然遺産として実際に登録を受けることになります。

このページの先頭へ戻る

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 環境部 自然保護課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟4階(北側)
電話:098-866-2243 ファクス:098-866-2855
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。